総務省トップ > 政策 > 白書 > 令和2年版 > 移動通信システムに係る市場シェアの変化
第1部 5Gが促すデジタル変革と新たな日常の構築
第4節 5Gが変えるICT産業の構造

(3)移動通信システムに係る市場シェアの変化

ア 世界市場(スマートフォン・基地局)

続いて、移動通信システムに特化した形で、市場の動向を見ていくこととする(図表1-4-1-30)。

図表1-4-1-30 世界市場におけるシェアの変化(スマートフォン・マクロセル基地局)

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(出典)Informa

まず、世界市場におけるスマートフォンの市場の変化(販売台数ベース)を、スマートフォンの普及が本格化した2009 年から2019年までの10年間、主要携帯電話端末メーカー単位で5年ごとに比較した。10年間で、スマートフォンの販売台数は、6.3倍と大きく拡大している。

主要端末メーカー別の比較では、2009 年にはBlackberryが16%で首位、2007年にiPhone3Gを発売したAppleが11%で2位であったのに対し、2014 年では、Samsung が24%で首位、Appleが15%で2位となったほか、Huawei 、Xiaomi、LG などアジア系企業がシェアを伸ばした。そして、2019年には、トップシェアこそSamsungで変わらないものの、中国系企業が10位以内に6社(Huawei、Xiaomi、OPPO、vivo、TCL-Alcatel及びZTE)ランクインするなど、この10年間にスマートフォン市場は、上位企業の顔ぶれも含めて大きく変容したことがわかる。

続いて、世界市場における携帯電話基地局の市場の変化(出荷金額ベース)を、スマートフォンと同様に2009 年から2019年までの10年間、主要基地局メーカー単位で5年ごとに比較した。10年間で、携帯電話基地局の出荷金額は、6.3倍と大きく拡大している。

主要基地局メーカー別の比較では、2009 年にはEricssonが35%、Nokiaが17%であったが、その他はHuawei、ZTE、Samsungといったアジア系企業が、日本企業でもNEC及び富士通が名を連ねている。2014 年には、引き続きEricssonが30%でトップシェアを占めていたものの、Huaweiが20%で、2019年にはEricssonも抜いてHuaweiが31%のシェアを占める結果となった。携帯電話基地局市場は、この10年間で上位企業の顔ぶれは変わらないものの、シェアの変動が見られたほか、「その他の企業」のパーセンテージが大きく下がっており、少数の企業への集中度が上昇する結果となっている。

なお、日本企業の動向に着目すると、スマートフォン市場では、2009 年には10 位以内に4 社(ソニー、富士通、NEC及びシャープ)がランクインしているが、2014 年には1 社に減少し、2019年には10位以内から姿を消す結果となった。また、基地局市場では、NEC及び富士通が2014年、2019年ともにランクインしているが、大きなシェアを占めているとは言い難く、スマートフォン、マクロセル基地局のいずれの世界市場においても日本企業が存在感を発揮しているとは言えない状況にある。

イ 国内市場(スマートフォン・基地局)

世界市場に続き、日本国内におけるスマートフォン及び携帯電話基地局の市場シェアの推移をみる(図表1-4-1-31)。なお、日本国内に関しては、2009年のデータをいずれも取得できなかったため、2014年及び2019年の2時点における比較となる。

図表1-4-1-31 国内市場におけるシェアの変化(スマートフォン・マクロセル基地局)

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(出典)Informa

我が国のスマートフォン市場を見ると、Appleのシェアが高く、iPhoneの根強い人気が伺える。2014年のデータでは、ソニーが14%、シャープが11%、京セラが6%と、日本企業もある程度のシェアを占めていたが、2019年では、Appleのさらなるシェア拡大と、中国系企業(OPPO、Huawei、ZTE)の伸長に押される形でシェアを落とす結果となっている。

携帯電話基地局の国内市場では、2014年時点では、Nokiaがトップシェアであり、NEC、Ericsson、富士通がそれに続いていた。また、HuaweiやZTEといった中国系企業もシェアは少ないながらも国内市場に製品を供給していた。2019年を見ると、Ericssonが首位に浮上したのに対して、Nokia、NEC、富士通は5年前に比べてシェアを落とす結果となった。

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