5Gは産業・社会の基盤となることが期待される技術であるが、社会への実装はどのように進むだろうか。第1章第2節において説明したように、5Gの商用開始から当分の間は、移動通信のコアネットワークは4Gのものを引き続き使用しつつ、無線アクセスネットワークとして5G NR基地局と4G/LTE基地局とを使用するNSA構成での運用となる。この段階では、通信需要の高いエリアを対象とした超高速サービスの提供が想定されていることから、5Gの社会実装に関しても、超高速・大容量の特長を活かした映像系のアプリケーション(映像中継、映像監視等)から進むものと想定されている。
その後、コアネットワークが4Gのものからネットワーク・スライシング等に対応した5Gコアネットワークに置き換えられていき、SA構成でNR基地局が運用される段階に達すると、超高速だけでなく超低遅延や多数同時接続に対応したサービスの提供がより進むことが想定される。具体的には、遠隔制御やコネクティッド・カー、ロボット等のIoT関係の実装が進んでいくことによって、5Gの真価が発揮されることとなる。