総務省トップ > 政策 > 白書 > 令和2年版 > 医療分野におけるICTの活用
第1部 特集 5Gが促すデジタル変革と新たな日常の構築
第3節 新型コロナウイルス感染症が社会にもたらす影響

(3)医療分野におけるICTの活用

ア 電話やオンラインによる診療の時限的・特例的な要件緩和

4月10日には「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」(令和2年4月7日閣議決定)において「非常時の対応として、オンライン・電話による診療、オンライン・電話による服薬指導が希望する患者によって活用されるよう直ちに制度を見直し、できる限り早期に実施する。」とされたことを踏まえ、厚生労働省が都道府県などに新型コロナウイルス感染症が収束するまでの期間に限り、電話やオンラインによる診療を、初診から実施して差し支えない旨の事務連絡を出した76。厚生労働省はこの中で、患者から電話等により診療等の求めを受けた医師が、電話や情報通信機器を用いた診療により診断や薬の処方が当該医師の責任の下で医学的に可能であると判断した範囲において行うことができるとした77

●遠隔医療相談

LINEヘルスケアが2019年12月から提供開始している遠隔健康相談サービス「LINEヘルスケア(β版)」では、2月のオンライン健康相談件数が前月比の40倍となり、LINEヘルスケアのLINE公式アカウントの友だち数は400万人を超えたということから、オンラインを通じた医療環境の需要は高いことがうかがえる。また寄せられる相談のうち新型コロナウイルスに関する質問が半数以上を占めているという。

サービスを利用したユーザへのアンケート調査によると、医師の回答内容の的確性について、10点満点のうち9点以上の高い満足度の人が7割を占めている(図表2-3-2-15)。

図表2-3-2-15 遠隔健康医療相談サービスに対する満足度(2020年2月10日-26日、0-10点で判断)
(出典)エムスリー78
イ 海外におけるロボットの活用

医療機関におけるSocial Distancingの実現のため、中国武漢の病院では、隔離している患者に対して人工知能(AI)を搭載した自律型ロボットを導入し、薬や食事のデリバリーを行っている。その他、カメラによる顔認証、自然言語処理技術、遠隔操作等の機能を活用することで、患者の様子を遠隔で医師に伝達している。

また湖北省武漢市や上海市の病院では、ロボットが消毒作業を担っており、こうした取組により、隔離病室にいる患者の観察と診療を可能にすると同時に、患者と医療従事者間の交差感染防止につなげる狙いがある。

また湖北省武漢市や上海市の病院では、ロボットが消毒作業を担っており、こうした取組により、隔離病室にいる患者の観察と診療を可能にすると同時に、患者と医療従事者間の交差感染防止につなげる狙いがある。

その他にも、音声認識大手の科大訊飛(アイフライテック)が開発した医療助手ロボットは1分間に900本の電話をかけ、体調の確認や感染予防の呼び掛けを行った。2カ月で全国の30の省や市、地区で運用され、延べ3700万人を電話訪問するなど、医療分野においてICTが積極的に活用されている。



76 新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて(https://www.mhlw.go.jp/content/000621247.pdfPDF

77 ただし本事務連絡による対応は、新型コロナウイルス感染症の感染が収束するまでの間の時限的な対応であり、原則として3か月ごとに検証を行うこととされている。

78 エムスリー(2020.03.05)「LINEヘルスケア:2月のオンライン健康相談件数が前月比40倍、友だち数400万人超に 〜新型コロナウイルスに関する質問が、相談件数の半数以上〜」(https://corporate.m3.com/press_release/2020/20200305_001552.html別ウィンドウで開きます
調査対象:LINEヘルスケア(β版)の相談利用者1,117名

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