総務省トップ > 政策 > 白書 > 令和2年版 > 研究開発戦略の推進
第2部 基本データと政策動向
第7節 ICT研究開発の推進

第7節 ICT研究開発の推進

1 研究開発戦略の推進

超高齢化社会を迎え、厳しい国際競争の中で、我が国経済の持続的成長を図るためには、ICTを最大限活用し、サイバー空間と現実世界の融合を図り、新たな価値創出に取り組んでいくことが不可欠である。2016年(平成28年)1月に閣議決定された第5期科学技術基本計画においても、このような取組を「Society 5.0」として政府全体で強力に推進し、ICTはその実現に不可欠な基盤的技術として戦略的強化を図ることとしている。また、2018年(平成30年)より、Society 5.0の実現に向け関連施策を府省横断的かつ一体的に推進するため、「統合イノベーション戦略」を毎年策定している。2019年(令和元年)6月11日に閣議決定された「統合イノベーション戦略2019」では、特に取組を強化すべき分野としてAI、量子技術等が挙げられており、「AI戦略2019」を同日に閣議決定するともに、「量子技術イノベーション戦略」についても2020年(令和2年)1月21日に最終報告を取りまとめた。

このような中、情報通信審議会情報通信技術分科会技術戦略委員会では、「新たな情報通信技術戦略の在り方」(2014年(平成26年)12月18日付け諮問第22号)について、2016年度(平成28年度)からの5年間を目途とし、ICT分野において国や国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT:National Institute of Information and Communications Technology)等が取り組むべき重点研究開発分野・課題及び研究開発、成果展開等の推進方策の検討を行い、2015年(平成27年)7月28日に中間答申1がなされた。総務省では、同中間答申の提言を踏まえ、NICTの次期中長期目標を策定するとともに、産学官によるIoT推進体制として、2015年(平成27年)10月に「IoT推進コンソーシアム」が設立され、同コンソーシアムのもとに設置された「スマートIoT推進フォーラム(技術開発WG)」において、IoT関連技術の開発・実証・標準化の推進に向けた取組を進めている。

続いて、2016年(平成28年)7月には、第2次中間答申2がなされ、IoT/ビッグデータ/AI時代において、我が国経済が国際競争力を維持・強化し、持続的な成長を図るための「スマートIoT推進戦略」と「次世代人工知能推進戦略」や、新しい時代に若い世代が世界と伍していくための「IoT人材育成策」と、今後の国際標準化活動における重点領域及び重点領域ごとの具体的目標を定める新たな「標準化戦略」が取りまとめられた。

さらに、IoT/ビッグデータ /AI時代を迎えた熾烈な国際競争の中で、我が国社会の生産性向上と豊かで安心な生活を実現するため、技術戦略委員会における検討が続けられ、次世代AI技術の社会実装を図るとともに、その駆動力となる超大量データを活用可能なICTデータビリティを推進するための戦略である「次世代AI社会実装戦略」及び「次世代AI×ICTデータビリティ戦略」が、2017年(平成29年)7月に第3次中間答申3として取りまとめられた。

また、少子高齢化や地域社会の活性化といった将来的な社会的課題の解決に向けたICT分野の技術課題や技術開発・社会実装の推進方策等について、中長期的な技術戦略等を検討するため、2017年(平成29年)12月から、「ICT分野における技術戦略検討会4」を開催しており、2018年(平成30年)7月に検討状況が取りまとめられた。2018年(平成30年)12月からは、AI技術、センシング技術、ネットワーク技術などの世界最先端のICT研究開発を進めると共に、ICTの社会実装とその海外展開、国際標準化などによる世界の社会課題解決を進めるための戦略を検討するため、「デジタル変革時代のICTグローバル戦略懇談会5」を開催し、検討を行った。さらに、同懇談会の下に「技術戦略ワーキンググループ」を開催し、Society5.0の実現や国際競争力の強化に向けて国が重点的に取り組むべき施策や国内の社会課題解決に向けた技術開発の推進及び開発を促進するための環境の整備、国際標準化、国際連携の推進等について検討を行い、同懇談会に報告した。これらの検討を取りまとめ、2019年(令和元年)5月31日に「ICTグローバル戦略」を公表した。

2019年(令和元年)10月以降は、技術戦略委員会における検討を再開し、Society5.0の実現やグローバル展開に向けたICT技術戦略を推進するため、次期科学技術基本計画や国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の次期中長期計画等を見据えつつ、ICT分野で国が重点的に取り組むべき技術課題や社会実装方策等について検討を行っている。

総務省では、これらの取組を通じ、ICTを専門とする唯一の公的研究機関であるNICT等と連携して、我が国の将来の発展へのシーズを生み出すICT分野の研究開発と、研究成果の社会実装によるイノベーション創出の実現に向けた取組を推進している。



1 中間答申:(https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin03_02000136.html別ウィンドウで開きます

2 第2次中間答申:(https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02tsushin03_03000223.html別ウィンドウで開きます

3 第3次中間答申:(https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin03_02000216.html別ウィンドウで開きます

4 ICT分野における技術戦略検討会:(https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/technical_strategy_ict/index.html別ウィンドウで開きます

5 デジタル変革時代のICTグローバル戦略懇談会:
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin03_02000260.html別ウィンドウで開きます

テキスト形式のファイルはこちら

ページトップへ戻る