●インターネットエコノミーに関する日米政策協力対話
インターネットエコノミーに関する幅広い政策課題について意見交換し、ICT分野の発展に向けた認識の共有化と地球的規模での課題における具体的連携を推進する観点から、2010年(平成22年)に日米両国の間で、「インターネットエコノミーに関する日米政策協力対話(日米IED)」を行うことで一致した9。同年11月に第1回を開催して以来、総務省国際戦略局長及び米国務省国際通信情報政策担当幹部を共同議長とし、日本経済団体連合会(経団連)、在日米国商工会議所(ACCJ)、ほかICT企業の代表が出席する官民会合、及び日米両政府間(日本側は総務省、外務省、経済産業省、内閣サイバーセキュリティセンター等。米国側は国務省、連邦通信委員会、商務省等)のみで行われる政府間会合が実施されている。また、2017年(平成29年)から、日米両国政府は、本対話を麻生副総理とペンス副大統領による「日米経済対話」の枠組みの中で、デジタル経済分野における日米協力を議論する場として位置づけ、具体的連携を加速させている。
2019年(令和元年)10月に都内で開催された第10回会合では、まず同月9日の民間会合において、データ活用のための政策枠組みの整備、サイバーセキュリティ分野の国際協力の推進及び信頼できるAI活用の促進を求める「日米IED民間作業部会共同声明201910」が経団連及びACCJによって取りまとめられた。また、同月10日及び同月11日に開催された政府間会合及び官民会合では、日米の産業界から両国政府に提出された同共同声明等を踏まえ、国際協調(AI及びデータ流通)、第三国連携、5G、サイバーセキュリティ等、日米サイバー対話とのジョイントセッションも含め幅広い議題について議論し、会合の成果文書として「第10回インターネットエコノミーに関する日米政策協力対話に係る共同記者発表11」を公表した。
●デジタル分野における「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた日米協力
インターネットエコノミーに関する日米政策協力対話の枠組みの中で、日米戦略デジタル・エコノミーパートナーシップ(JUSDEP)作業部会を2019年(平成30年)3月に立ち上げた。これまで4回のJUSDEP作業部会を開催し、開放的で、相互運用可能で、セキュアで信頼のおけるグローバルなデジタル経済環境の実現にコミットした。
また、2019年(令和元年)5月の日米首脳会談において、上記JUSDEP作業部会の結果も踏まえ、両首脳は「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた日米協力が着実に進展していることを歓迎し、今後とも、日米で手を携え、この日米共通のビジョンの実現に向けた協力を力強く推進していくとの意思を再確認した12。
更に、2019年(令和元年)11月にタイ王国バンコクで開催された第2回インド太平洋ビジネスフォーラムの際に、日米両国は、デジタル分野における「自由で開かれたインド太平洋」の実現の一環として、インド太平洋地域におけるスマートシティの開発の推進について今後の両国の協力を確認する「インド太平洋地域におけるスマートシティの開発の推進に関する日米共同声明」を発表したところ、今後、日米両国は、日米及びインド太平洋地域の都市間による、スマートシティに関する知見共有の機会の設定等に加え、同声明に係る活動及びその結果については、グローバル・スマートシティ・アライアンス等の国際的な活動に対して積極的に共有することとしている13。
同声明に基づいて、令和元年12月にシンガポールで開催された米星スマートシティセミナーに講師を派遣した。また、令和2年1月、ワシントンD.C.で第1回日米スマートシティ・ワークショップを開催。
総務省は、欧州委員会通信ネットワーク・コンテンツ・技術総局との間で、ICT政策に関する情報交換・意見交換の場として日EU・ICT政策対話を開催している。2019年(令和元年)12月、東京で開催された日EU・ICT政策対話(第25回)では、今後のG7やG20をはじめとする国際的な枠組の中での日EU間の連携を確認したほか、日EU双方における政策動向を踏まえ、5G、サイバーセキュリティ、標準化・国際共同研究、規制改革、AI、トラストサービスについて議論を行った。加えて、日EU・ICT政策対話(第25回)の開催にあわせ、デジタル経済における重要課題について官民で自由な意見交換を行う場として日EU・ICT戦略ワークショップ(第9回)を開催し、AI、トラストサービス、デジタル政策、サイバーセキュリティ、5G・自動運転、標準化、データエコノミーについて議論を行った。
総務省は、日独両国間の情報通信分野における政策面での相互理解を深め、両国間の連携・協力を推進するため、2020年(令和2年)2月、ドイツ連邦共和国・連邦経済エネルギー省との間で日独ICT政策対話(第4回)を開催し、今後のG7やG20、IGFをはじめとする国際的な枠組の中での両国間の連携を確認したほか、日独双方における政策動向を踏まえ、AI/IoT、政策及び規制の見直し、5G、IoTセキュリティ、データ利活用について議論を行った。加えて、日独ICT政策対話(第4回)の開催にあわせ、ICT分野における重要課題について官民で自由な意見交換を行う場として、2回目となる官民会合を開催し、データエコノミー及びインターネットガバナンス、新たな技術(自動運転、AI)、IoTセキュリティについて議論を行った。
総務省では、アジア・太平洋諸国の情報通信担当省庁等との間で、通信インフラ整備やICT利活用等のICT分野に関する協力を行っている。
インドとは、2018年(平成30年)8月、インドにおいて総務省とインド通信省との間で、第5回日印合同作業部会を開催し、特に、5G、サイバーセキュリティ及び第三国におけるICT分野の人材育成支援等について取組を進めて行くことで合意した。本合意に基づき、2020年(令和2年)3月にデリーにて同国政府職員向けに実践的サイバー防御演習(CYDER)を実施した。
ベトナムとは、2018年(平成30年)1月に第1回、同年12月に第2回日ベトナムICT共同作業部会を開催した。2019年(令和元年)11月に、第3回同作業部会をハノイにて開催し、サイバーセキュリティ、5G、スマートシティ分野等について意見交換を実施し、今後の日越間協力について引き続き協議を行っていくこととなった。
ミャンマーについては、同国運輸・通信省職員を対象として、2019年(令和元年)12月にサイバーセキュリティに関するワークショップ、2020年(令和2年)2月に情報通信政策等に係る招へい研修を実施した。
タイでは、2019年(令和元年)10月に開催された東南アジア最大級のICTイベント「Digital Thailand Big Bang」において、総務省が日本パビリオンを主催するとともに、複数のスタートアップ企業が出展を行い、タイ政府要人や企業関係者に日本のICT技術・サービスをPRした。
シンガポールとは、2019年(令和元年)6月、シンガポールにおいて総務省とシンガポール情報通信メディア開発庁との間で、第6回日・シンガポールICT政策対話を開催し、両国のICT政策全般、5G及びAIといった新たな技術・サービスに対する政策動向、サイバーセキュリティ対策、ネットワークレジリエンス等、多岐にわたる分野で意見交換を実施した。
オーストラリアとは、2015年(平成27年)2月に、シドニーにおいてオーストラリア通信省との間で、第1回日豪ICT政策対話を開催し、準天頂衛星システム(みちびき)を活用したG空間プロジェクトの推進等について合意したこと等を踏まえ、2014年度(平成26年度)から2018年度(平成30年度)にかけて、「みちびき」の高精度な測位補強サービスを活用し、トラクターの自動化やドローンによる農作物の生育状況の効率的な把握を行うスマート農業の実現を目指した実証を実施した。
9 インターネットエコノミーに関する日米政策協力:https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/
02tsushin06_02000027.html
10 https://www.keidanren.or.jp/policy/2019/081.html
11 https://www.soumu.go.jp/main_content/000650310.pdf
12 https://www.mofa.go.jp/mofaj/na/na1/us/page4_005001.html
13 https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin08_02000110.html