前節で挙げた我が国が抱える課題との対応関係を踏まえながら、ここではICTの経済貢献経路について体系化して説明する。少子高齢化や人口減少が進む中で中長期的な経済成長を実現していくためには、供給面では、「企業の生産性向上」と「労働参加拡大と労働の質向上」が重要であることを述べた。前者については、企業活動の観点から「①ICTに係る投資」及び「②ICTに係る利活用」へさらに分解することができる。後者については、労働投入量(人数×時間)についてか単位あたりの労働力についてかという観点から「③ICTに係る労働参画の促進」及び「④ICTに係る労働力向上」に分解することができる。需要面では、「新たな商品やサービスの創造」と「グローバル需要の取り込み」が重要であることを述べた。前者については、ICTが直接的あるいは間接的に係るかの観点から「⑤ICTに係る商品・サービスやビジネスの創出」及び「⑥ICTを通じた消費の促進」へ分解できる。後者については、需要の内需・外需の別から「⑦ICTに係る輸出や海外投資」及び「⑧ICTを活用したインバウンド需要の喚起」に分けられる(図表1-2-1-1)。
以降では、これらの順番に、具体的に説明していく。