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第1部 特集 IoT・ビッグデータ・AI〜ネットワークとデータが創造する新たな価値〜
第3節 公共分野における先端的ICT利活用事例

(4)機能繊維素材「hitoe®」を活用した実証実験

2015年8月17日から9月14日まで、日本航空株式会社(JAL)、NTTコミュニケーションズ株式会社及び東レ株式会社の3社は、那覇空港にて、荷物の上げ下ろしや飛行機の誘導を行う作業員(グランドハンドリングスタッフ)の熱ストレスに関する実証実験を行った(図表3-3-1-13)。実証実験は東レとNTTが開発した着衣するのみで心拍数が取得できる機能繊維素材「hitoe®」を作業員が着用、心拍数などのバイタルデータをリアルタイムに取得するとともに、トランスミッターに組み込んだ3軸加速度センサーと合わせ、作業員がどの程度運動しているか、転倒していないかどうかなどの体勢の情報も取得するようにした。

図表3-3-1-13 「hitoe®」を活用した実証実験のイメージ図
(出典)日本航空株式会社ホームページ4

空港において作業員が熱中症で倒れた場合、作業員自身の健康を害するのみならず、空港の運営や航空機の運航に支障をもたらす重大事故につながるおそれもあるが、このシステムを使えば比較的少ない費用で作業員の現在の状態を可視化できるため、重大事故の危険性を抑制することが可能になる。

実証実験を行った結果、個人差や作業内容により心拍数に差があることから個々人の傾向に基づいた閾値の設定をどのようにするかという課題が明らかになった。また、バイタルデータを活動中や健康時も含め長期間蓄積した事例はそれまでほとんど前例がなかったが、一定の人数のデータを長期間蓄積するとともに他の種類のデータとの組み合わせ分析することで精度の高い多様な分析が可能になると考えられ、今後の発展が期待される。

医療ICTサービスに関するアンケート結果

医療ICTサービスとして、「インターネットと情報端末を通じて医師の診察を受けたり直接相談することができるサービス」(遠隔医療診断・相談サービス)、「インターネットと専用の計測機器を利用して自分の健康情報を医療機関に送り、診察結果を基に病気の予兆通知、薬の処方の確認等が受けられるサービス」(健康管理サービス)の2類型を提示し、アンケートにて利用意向及び利用しない理由・デメリットを尋ねた。

2類型の各国の利用意向(現在の医療関連支出に追加の支払を行ってでも利用したいと現在の医療関連支出が増えないのであれば利用したいの回答の合計)を全体(加重平均)で見ると、我が国は6か国の中で最も低い49.9%、47.4%となった。

図表1 医療ICTサービスの段階別利用意向
(出典)総務省「IoT時代における新たなICTへの各国ユーザーの意識の分析等に関する調査研究」(平成28年)
「図表1 医療ICTサービスの段階別利用意向」のExcel(1)はこちらEXCEL / Excel(2)はこちらEXCEL / CSV(1)はこちら / CSV(2)はこちら

ただし、こうしたサービスを利用しない理由・デメリットについての結果を見ると、我が国は「インターネット回線や必要な端末を用意することができない」が6.8%と各国の中で最も低く、いわゆるリアルなサービスとの関係でも「専門家に直接会って診察や指導を受けたい」「病院や診療所に行くことで、他の患者とのコミュニケーションができる」がそれぞれ31.0%、5.9%と他の国と比較すると低い結果となった。

図表2 医療ICTサービスを利用しない理由・デメリット
(出典)総務省「IoT時代における新たなICTへの各国ユーザーの意識の分析等に関する調査研究」(平成28年)
「図表2 医療ICTサービスを利用しない理由・デメリット」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら


4 http://press.jal.co.jp/ja/release/201508/003459.html/別ウィンドウで開きます

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