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第1部 特集 IoT・ビッグデータ・AI〜ネットワークとデータが創造する新たな価値〜
第1節 IoTがもたらすICT産業構造の変化

3 新たな市場創出やビジネスモデルの変化

こうしたインターネットに接続するモノやデータの爆発的な増大は、既存のICT産業や市場の構造にどのような変化を与えるのであろうか。

第一に、新たな市場の創出や既存のICT産業、市場の発展が予想される。新たな市場の創出としては、様々なデバイスから収集されるビッグデータの付加価値に着目した、新たなサービスやアプリケーションの創出が想定される。また、IoTが生み出すビッグデータを解析・応用する技術として期待されている人工知能(AI)の進展もIoTによる市場の創出を加速させる。一方、既存のICT産業や市場の発展として、例えば、企業のICTシステムの基盤として普及してきたクラウドは、IoTの普及のきっかけでもありながら、今後のIoTの進展により、ビッグデータの処理基盤等の役割として活用がさらに増加するという相乗効果も期待される。

第二に、新しいビジネスの展開が進む中で、従来のICT産業の事業者間のみならず、ICT利活用産業を含む異業種・異分野からの参入事業者との間で、データがもたらす新たな付加価値やビジネスを巡る競争が進展することが予想される。実際に、欧米企業の中では、IoTの進展による産業構造の変化を見据え、インターネットの世界からリアルの世界への進出、またはリアルな世界からインターネットの世界への進出などに先行して取り組むことで、新たな産業のプラットフォームを築こうとする動きが見られている。例えば、インターネットからリアルへの動きとしては、Googleの自動走行・ロボット分野等への進出、Amazonによる配送のためのドローンの開発や生鮮食品配達サービスの展開、またリアルからインターネットへの動きとしては、GEのPredix(機器・設備の高度な制御を行うためのクラウドコンピュータのアプリケーション)の展開などが挙げられる(IoTに係る具体的事例は本章第3節参照)。

このように、既存のICT基盤とIoT・ビッグデータ・AIによる新たなICTの潮流が相互に影響し合いながら、新しいICT産業としてエコシステムを形成していくことが予想される。

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