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第2部 基本データと政策動向
第2節 電気通信事業政策の展開

第2節 電気通信事業政策の展開

1 電気通信事業政策の展開

(1)ブロードバンドの普及と公正競争の促進

ア ブロードバンド基盤の整備

総務省は、地域の活性化を図っていく上で重要かつ必要不可欠な超高速ブロードバンド基盤の整備を推進するため、過疎地域・離島等の条件不利地域を有する地方公共団体が、光ファイバ等の超高速ブロードバンド基盤の整備を実施する場合、その事業費の一部を補助する「情報通信基盤整備推進事業」を平成28年度から実施している(図表6-2-1-1)。

図表6-2-1-1 情報通信基盤整備推進事業 概要
イ モバイルサービスの推進

2020年代に向けて、我が国の世界最高水準のICT基盤を更に普及・発展させ、経済活性化・国民生活の向上を実現するため、電気通信事業の公正な競争の促進、消費者保護ルールの見直し・強化等を内容とする「電気通信事業法等の一部を改正する法律」が平成27年5月22日に公布された。本改正法の施行に伴い、総務省は電気通信事業法の関係政省令を整備し、改正法とともに平成28年5月21日に施行された。

また、あらゆるモノがネットワークを通じてつながるIoT時代においては、スマートフォンが国民の生活インフラとして一層重要な役割を果たすことが期待される。総務省ではこれまで、事業者間競争を促進し、SIMロック解除の推進やMVNO(仮想移動体通信事業者)の振興に取り組んできたところである。平成27年には、「ICTサービス安心・安全研究会 携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース」において、利用者にとってより低廉で利用しやすい携帯電話の通信料金を実現するための方策の検討を行い、同年12月にはこの検討を踏まえ、「スマートフォンの料金負担の軽減及び端末販売の適正化に関する取組方針」を策定し、利用者の多様なニーズに対応した料金プランの導入や行き過ぎた端末販売の適正化を推進している(第3章第1節「政策フォーカス:スマートフォンの料金負担軽減に向けた取組」参照)。

電気通信サービスの期間拘束・自動更新付契約についても、「ICTサービス安心・安全研究会 利用者視点からのサービス検証タスクフォース」においてその在り方に係る検討を行った。主要携帯電話事業者は同検討結果を踏まえ、期間拘束が自動更新しない新プランを導入することとしている。また、違約金なく解約できる期間(更新月)を1ヶ月から2ヶ月に延長することとした。

さらに、携帯電話番号の有効利用を図るため、平成27年6月に「携帯電話番号の有効利用に向けた電気通信番号に係る制度の在り方」について情報通信審議会に諮問し、同年12月に答申1を受けた。同答申においては、IoT時代において需要の増加が見込まれるM2Mサービス向けの番号として「M2M等専用番号」(020)を導入することにより、M2Mサービスの展開加速・コスト削減を促進し、現行の携帯電話番号(090/080/070)についても指定方法の効率化により更なる有効利用を図ることが提言された。

ウ NTT東西のFTTHアクセスサービス等の卸電気通信役務の提供における適正性、公平性及び透明性の確保

総務省は、NTT東西のFTTHアクセスサービス等の卸電気通信役務(以下「サービス卸」という。)の提供に関して、卸提供事業者、卸先事業者及び卸先契約代理業者の行う行為について、電気通信事業法の適用関係を明確化することを目的に、電気通信事業法の業務改善命令等の対象となり得る行為を整理・類型化する「NTT東西のFTTHアクセスサービス等の卸電気通信役務に係る電気通信事業法の適用に関するガイドライン」(以下「サービス卸ガイドライン」という。)を、NTT東西によるサービス卸の提供開始に対応し、平成27年2月に策定した。

また、併せて、NTT東西に対して、①サービス卸ガイドライン等を踏まえた対応、②サービス卸の提供条件等の公平性、適正性及び透明性の確保、③サービス卸に係る市場動向の把握・検証のための報告等についての対応及び報告を要請し、平成27年12月、NTT東西からの報告内容等を踏まえ、NTT東西におけるサービス卸の提供状況について、情報通信審議会への報告及び公表を行った。

なお、平成28年5月に施行した「電気通信事業法等の一部を改正する法律」により、NTT東西のサービス卸を含む卸電気通信役務については、事後届出制や、総務大臣が届出内容を整理・公表する制度が導入された。

エ 電気通信事業分野における市場検証の実施

電気通信市場は、急激な技術革新等の進展により環境変化が著しいことから、当該市場の動向を的確に把握し、明確なルールに基づく公正かつ透明な行政運営を通じて自由競争を有効に機能させ、新事業・新サービスの創出や利用者利便の向上を図ることが求められている。

このことから、平成15年度から実施してきた「電気通信事業分野における競争状況の評価」及び平成24年度・平成25年度に実施した「ブロードバンド普及促進のための公正競争レビュー制度」を充実・発展させ、平成28年度から、市場動向の分析・検証及び事業者の業務の適正性等の確認を一体的に行う市場検証の取組を実施している。

オ 無料公衆無線LAN環境の整備促進

スマートフォンやタブレット等の無線LANを搭載した携帯端末の普及を背景として、無線LANを利用する機会が増えてきており、無線LANは、家庭、オフィス及び公衆スポット等における快適なワイヤレスブロードバンド環境の実現のために必要不可欠な存在となっているが、公共的な観光・防災拠点等を中心に公衆スポット等では、Wi-Fi環境の整備が十分に進んでいない。また、公衆無線LANは、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて増加が予想される訪日外国人観光客からのWi-Fi環境に対するニーズが高いこと、災害時に電話回線が輻輳のために利用できない場合でも効果的に情報を受発信できる通信手段として有効であることといった側面がある。

これらを踏まえ、総務省では、自治体及び第三セクターを対象に、平成26年度から「観光・防災Wi-Fiステーション整備事業」、平成28年度から「公衆無線LAN環境整備支援事業」を実施しており、観光や防災等の観点から、地域活性化等に寄与する公衆無線LAN環境の整備を促進している(図表6-2-1-2)。

図表6-2-1-2 「観光・防災Wi-Fiステーション整備事業」の概要

また、訪日外国人がより円滑に無料公衆無線LANサービスを利用できる環境の実現に向けて、平成28年2月、利用開始手続の簡素化・一元化の推進について(1)共通の技術仕様の策定、(2)実証実験の実施、(3)全国各地への普及を内容とする取組方針2を策定した。

カ IPv6の普及促進

インターネット上の住所に相当するIPアドレスは、ICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)のIANA(Internet Assigned Number Authority)機能と呼ばれるIPアドレスの世界的な管理機能によって、世界5地域に設けられた地域インターネットレジストリに分配されており、アジア太平洋地域については、APNIC(Asia Pacific Network Information Centre)が管理を行っている。インターネットにおいて主に利用されているIPv4アドレスについては、平成23年2月にIANAの世界共通在庫が、同年4月にAPNIC及び我が国のIPアドレスを管理するJPNIC(Japan Network Information Center)の在庫が枯渇した。これを受け、我が国の通信事業者等においては、IPv4の後継規格であるIPv6の早期導入がこれまで以上に重要となっている。

総務省では、世界的なIPv4アドレスの枯渇に加え、IPv6対応が加速する国際動向や大量のデバイス等が接続されるIoT社会の構築に向けたIPv6対応の重要性を踏まえ、平成27年7月に再開した「IPv6によるインターネットの利用高度化に関する研究会」3において、今後のIPv6推進の基本的な考え方やアクションプラン等を取りまとめ、平成28年1月、「第四次報告書」として公表した。同報告書では、IoT時代において大量のセンサー等を直接つなぐことができるモバイル通信の役割が重要となることを踏まえ、平成29年にはスマートフォンの利用者に対するIPv6のデフォルト提供が、利用料の追加的負担なく展開されている状況(「IPv6 Mobile Launch」)を実現すべきである等が提言されている。



1 情報通信審議会からの答申:http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban06_02000049.html別ウィンドウで開きます

2 訪日外国人に対する無料公衆無線LANサービスの利用開始手続の簡素化・一元化の実現等に向けた取組方針〜」の公表:
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban04_02000102.html別ウィンドウで開きます

3 IPv6によるインターネットの利用高度化に関する研究会:(平成21年開催)
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/policyreports/chousa/ipv6_internet/別ウィンドウで開きます

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