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第1部 特集 IoT・ビッグデータ・AI〜ネットワークとデータが創造する新たな価値〜
第1節 IoT時代の新たなサービス

(3)シェアリング・エコノミーの認知度・利用率・利用意向

以上のように、シェアリング・エコノミーに関連する様々なサービスが提供され始めているが、消費者からはどの程度認知され、またどの程度の利用率・利用意向があるのだろうか。今回、日本、米国、英国、ドイツ、韓国、中国の6か国の各1,000人のモニターを対象に、シェアリング・エコノミーの認知度や利用意向等についてアンケート調査を実施した15

以下、「民泊サービス」「その他のサービス」の類型別に、認知度、利用意向の各国比較、必要に応じ年代等の属性別の比較を行う。

ア 民泊サービス

はじめに、シェアリング・エコノミーのうち、民泊に関連するサービスの国別・年代別の認知度16及び利用意向を取り上げる(図表3-1-2-7)。なお、各国の全体の認知度及び利用率は、各年代のアンケート結果の値を、当該国の各年代の人口(データのソースは国連世界人口推計2015年版17)で加重平均したものである。

図表3-1-2-6 民泊サービスの利用意向(2015年日本)
(出典)総務省「社会課題解決のための新たなICTサービス・技術への人々の意識に関する調査研究」(平成27年)
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図表3-1-2-7 民泊サービスの認知度・利用意向(2016年各国)
(出典)総務省「IoT時代における新たなICTへの各国ユーザーの意識の分析等に関する調査研究」(平成28年)及びみずほ情報総研提供資料(オーストラリア、インド分)
「図表3-1-2-7 民泊サービスの認知度・利用意向(2016年各国)」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら

認知度を比較すると、各国において、7割〜9割程度の認知度があり、最も低い我が国で72.0%となっている。民泊関連のサービスは各国で広く認知されていることが分かる。

利用意向を国別に比較すると、高い順に、中国(84.2%)、韓国(77.6%)、米国(55.0%)、英国(44.2%)、ドイツ(43.1%)、日本(31.6%)となり、各国の置かれた状況により、民泊に対する利用意向にはばらつきが見られる結果となった。

なお、単純な比較はできない18ものの、2015年に我が国を対象として行った利用意向の調査では、「利用したい」「利用を検討してもよい」の合計は全体(加重平均)で26.0%という結果であった。

イ その他のシェアリング・エコノミー

続いて、その他のシェアリング・エコノミーのサービスの認知度及び利用意向を取り上げる。

まず、一般のドライバーの自家用車に乗って目的地まで移動できるサービスの認知度を比較すると(図表3-1-2-8)、日本以外の各国においては、7割〜9割程度の認知度がある。一方で、我が国においては、48.3%となり、こうしたサービスの認知度が比較的低い様子が伺える。

図表3-1-2-8 一般のドライバーの自家用車に乗って目的地まで移動できるサービスの認知度・利用意向(2016年各国)
(出典)総務省「IoT時代における新たなICTへの各国ユーザーの意識の分析等に関する調査研究」(平成28年)及びみずほ情報総研提供資料(オーストラリア、インド分)
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利用意向を国別に比較すると、中国(86.4%)、韓国(71.5%)、米国(53.5%)において半数を超えた。なお、我が国における利用意向は31.2%にとどまっており、6か国中最も低い結果となった。

図表3-1-2-9 個人の家事等の仕事・労働のシェアサービスの認知度・利用意向・利用率
(出典)総務省「IoT時代における新たなICTへの各国ユーザーの意識の分析等に関する調査研究」(平成28年)及びみずほ情報総研提供資料(オーストラリア、インド分)
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最後に、駐車スペースシェアサービス等のシェアリング・エコノミーの認知度、利用率及び利用意向を取り上げる(図表3-1-2-10)。

図表3-1-2-10 駐車スペースシェアサービスの認知度・利用意向・利用率
(出典)総務省「IoT時代における新たなICTへの各国ユーザーの意識の分析等に関する調査研究」(平成28年)及びみずほ情報総研提供資料(オーストラリア、インド分)
「図表3-1-2-10 駐車スペースシェアサービスの認知度・利用意向・利用率」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら

駐車スペースシェアサービスの認知度を比較すると、日本以外の各国においては半数以上の認知度がある一方で、我が国においては、49.7%であり、駐車スペースシェアサービスの認知度が比較的低い様子が伺える。

利用率を国別で比較すると、中国(33.5%)、米国(25.1%)で高い結果が得られた。我が国においても、akippaや軒先パーキングといった駐車スペースシェアサービスが提供されているが、利用率は6.0%であり、未だ一般的なサービスと言えるまでは普及していないことが分かる。

利用意向を国別に比較すると、韓国(83.2%)、中国(81.2%)において比較的高く、米国(54.1%)、ドイツ(46.6%)、英国(46.4%)、日本(45.1%)において比較的低い結果となった。

図表3-1-2-11 個人所有のモノのシェアサービスの認知度・利用意向・利用率
(出典)総務省「IoT時代における新たなICTへの各国ユーザーの意識の分析等に関する調査研究」(平成28年)及びみずほ情報総研提供資料(オーストラリア、インド分)
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本項の終わりに、民泊サービス等のデメリット・利用したくない理由のアンケート調査結果を取り上げる(図表3-1-2-12)。

図表3-1-2-12 シェアリング・エコノミーのデメリット・利用したくない理由(民泊サービス等)
(出典)総務省「IoT時代における新たなICTへの各国ユーザーの意識の分析等に関する調査研究」(平成28年)
及びみずほ情報総研提供資料(オーストラリア、インド分)
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我が国では、シェアリング・エコノミーのデメリット・利用したくない理由として、「事故やトラブル時の対応に不安があるから」が特に多くなっている。

国ごとの利用意向有無別の比較結果を見ると、利用の進展、ユーザーへの認知や理解に応じて、デメリットや利用したくない理由が変遷している可能性がうかがえる。認知や理解が進み、また、具体的な成功事例が示されることで利用者の不安が徐々に軽減され、利用が促進される可能性が考えられる。具体的には、各国とも利用意向なしの者の方が利用意向ありの者に比べ「この中にはない」を選ぶ傾向があり、利用意向のない者は漠然とした不安を抱いている可能性が考えられる。我が国については、利用意向のない者の方が「事故やトラブル時の対応に不安がある」を選ぶ割合が相対的に高くなっている。我が国以外の国、特にサービスの利用率が高く利用が進展している米国においては、概ね利用意向のある者の方が利用意向のない者よりも「口コミによる評価には限界がある」「企業が責任をもって提供するサービスの方が信頼できる」を選ぶ割合が相対的に高くなっている。

単純な比較はできないが、我が国の利用意向なしの者についてデメリットや利用しない理由の2015年の回答結果と2016年の回答結果を比較すると、「企業が責任をもって提供するサービスの方が信頼できるから」以外は各選択肢を選択したものの割合は減少している。



15 調査仕様の詳細は、巻末の付注4を参照されたい。
本調査結果の解釈にあたっては、アンケート会社の登録モニターを対象としたウェブアンケートである点に留意が必要である。国や性年代によっては、インターネット普及が途上である、モニターの登録者数が少ないなどの要因によって、対象者の特性や回答に偏りが生じている可能性がある。

16 認知度は、アンケートの対象者に各サービス類型について「サービス名や内容をある程度知っており関心がある」「知っているが、関心がない」「内容はよく知らないが、サービス名程度は聞いたことはある」「全く知らない」の4つのいずれに該当するかを尋ね、前3者に回答した者の割合を認知度としている。

17 http://esa.un.org/unpd/wpp/Download/Standard/Population/別ウィンドウで開きます

18 2015年調査と2016年調査(日本)は、調査対象としたサンプル、質問の仕方(前者の選択肢は「利用したい」「利用を検討してもよい」「あまり利用したくない」「利用したくない」、後者の選択肢は「有料でも利用したい」「無料なら利用したい」「利用したいと思わない」)等が異なり単純な比較はできないが、シェアリング・エコノミーに関する利用意向の変遷を考察するために掲載している。

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