総務省トップ > 政策 > 白書 > 28年版 > サービスロボットの認知度・利用率・利用意向
第1部 特集 IoT・ビッグデータ・AI〜ネットワークとデータが創造する新たな価値〜
第1節 IoT時代の新たなサービス

(3)サービスロボットの認知度・利用率・利用意向

前項まででみたように家庭において会話の相手、子供の面倒や要介護者の見守り等の支援をおこなう「サービスロボット」が一部実用化されている。ここでは、各国生活者アンケートを用いて、サービスロボットを3例提示し、それぞれについての認知度及び、利用意向をみることとする。

「会話やダンス、クイズ・ゲームの相手をするロボットサービス」の認知状況をみると、8か国とも認知状況は5〜8割と高くなった。高くなった順にみると、中国89.2%、インド80.6%、韓国74.2%、米国62.0%、ドイツ60.8%、英国56.4%、日本53.7%、オーストラリア50.8%の順となった。特に中国・インドにおいて8割と高い。全般に若い年代の方が認知度が高く、英国、ドイツ、オーストラリア、インドでは20代が最も認知度が高い。例外は韓国で、50代が最も高く、ついで40代となっており、中年層の方がやや認知度が高い。

次に利用意向をみると、高くなった順に、中国76.9%、韓国55.1%、インド69.9%であった。年代別にみると米国の若い世代で高く、20代67.5%、30代78.5%であった。

なお、日本は「利用したい」は32.8%と半数を下回っていた(図表3-1-5-6)。

図表3-1-5-6 「会話やダンス、クイズ・ゲームの相手をするロボットサービス」の認知度・利用意向
(出典)総務省「IoT時代における新たなICTへの各国ユーザーの意識の分析等に関する調査研究」(平成28年)
及びみずほ情報総研提供資料(オーストラリア、インド分)
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次に「子供の相手をするとともに、安全や健康を見守るロボットサービス」の認知状況をみると、8か国とも認知状況は4〜9割と高くなった(ただし日本・オーストラリアを除く6か国では5割以上であり、より高い認知状況である)。高くなった順にみると、中国88.1%、インド80.3%、韓国71.8%、米国57.6%、ドイツ57.4%、英国53.1%、オーストラリア46.0%、日本41.6%の順となった。年代別には、ほとんどの国で子育て世代である20代あるいは30代での認知度が高くなっている。

「子供の相手をするとともに、安全や健康を見守るロボットサービス」の利用意向をみると、高くなった順に、中国76.6%、インド67.1%、韓国54.2%であった。日本の利用意向は29.6%であった。

年代別にみると、認知度と同様にほとんどの国で20代あるいは30代で高くなっているが、日本の場合は全体に比べて大きな伸びはみられない。子育て世代においてロボットに子育てを託すことに躊躇している人も多いことがうかがわれる(図表3-1-5-7)。

図表3-1-5-7 「子供の相手をするとともに、安全や健康を見守るロボットサービス」の認知度・利用意向
(出典)総務省「IoT時代における新たなICTへの各国ユーザーの意識の分析等に関する調査研究」(平成28年)
及びみずほ情報総研提供資料(オーストラリア、インド分)
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「介護者の補助をするとともに、要介護者の健康状態を見守るロボットサービス」の認知状況をみると、8か国とも認知状況は4〜9割と高くなった。高くなった順にみると、中国86.1%、インド79.9%、韓国71.1%、ドイツ61.1%、米国57.9%、英国52.8%、オーストラリア47.2%、日本46.2%の順となった。

年代別にみると、日本と韓国は年代差がそれほど大きくないのに対して、それ以外の国では20代ないしは30代の認知度が高くなっている。

「介護者の補助をするとともに、要介護者の健康状態を見守るロボットサービス」の利用意向をみると、高くなった順に、中国76.8%、インド64.5%、韓国59.5%であった。

年代別にみるとオーストラリアも含む欧米諸国では若い世代に比べて50代から60代の中・高齢層の利用意向が著しく低くなるのに対して、日本を含むアジア諸国では中・高齢層の利用意向も比較的高く、介護へのロボットの活用に対する受容性が異なることがうかがわれる(図表3-1-5-8)。

図表3-1-5-8 介護者の補助をするとともに、要介護者の健康状態を見守るロボットサービスの認知度・利用意向
(出典)総務省「IoT時代における新たなICTへの各国ユーザーの意識の分析等に関する調査研究」(平成28年)
及びみずほ情報総研提供資料(オーストラリア、インド分)
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さらに、利用意向のない人を対象に「利用しない理由」をたずねた。我が国では「価格が高いと思うから」が最も高くなっているのに対して、ドイツでは「ロボットが人間の面倒を見ることに心理的な抵抗があるから」が顕著に高くなっており、介護に対するスタンスの違いがうかがわれる。また、米国、英国、韓国、オーストラリア、インドに関してもドイツほど大きな差異ではないものの「ロボットが人間の面倒を見ることに心理的な抵抗があるから」が最も高くなっており、経済面よりも心理面の障壁が高いことがうかがわれる(図表3-1-5-9)。

図表3-1-5-9 介護者の補助をするとともに、要介護者の健康状態を見守るロボットサービスを利用しない理由
(出典)総務省「IoT時代における新たなICTへの各国ユーザーの意識の分析等に関する調査研究」(平成28年)
及びみずほ情報総研提供資料(オーストラリア、インド分)
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スマートフォンの料金負担軽減に向けた取組

災害対応、シニア世代や子供の見守りへの活用など、携帯電話は今や国民の「生活インフラ」である。特に、スマートフォンは、IoT時代に重要な役割を果たすことが期待されており、利用者にとって分かりやすく納得感のある料金・サービスを実現し、更なる普及を図ることが必要である。

これまで、大手携帯電話事業者は、主にMNP1により端末を購入する一部の利用者に対して、10万円近くもする端末を実質0円にするような行き過ぎた端末購入補助を行い、その分がライトユーザーや長期利用者の通信料金に上乗せされているのではないかという分かりにくさ、不公平感につながっていたほか、MVNO2の新規参入・成長を阻害する点からも問題があった。

このため、総務省では、平成27年10月から、「ICTサービス安心・安全研究会 消費者保護ルールの見直し・充実に関するWG 携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース」3を開催し、具体的方策の検討を行った。タスクフォースの取りまとめを踏まえ、同年12月18日には、総務省としての取組方針を策定し(図表1)、大手携帯電話事業者に対して、スマートフォンの料金負担の軽減と行き過ぎた端末販売の適正化を要請した。

図表1 スマートフォンの料金負担の軽減及び端末販売の適正化に関する取組方針

この要請に応じ、大手携帯電話事業者は、利用者の料金負担の軽減を図るため、新たな料金プラン等を順次導入している。具体的には、ライトユーザーの場合、新たな料金プランを選択することで、月々の負担は従来の最も安いプランより2割以上安い5,000円以下の水準になる。また、一部の事業者が長期利用者向けにも割引の拡充を行っている。

また、大手携帯電話事業者は、平成28年2月以降、行き過ぎた端末購入補助の適正化に取り組んでおり、かつて行われていた実質0円を大幅に下回るキャッシュバックなどは姿を消しつつある。その結果、MVNO向けのSIMロックフリー端末や低料金プランを提供するMNOの端末の販売台数が増加するなど、端末価格の値引き競争から、料金・サービスを中心とした健全な競争に向けた変化が進んでいる。

同年4月1日からは、新たに策定した「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン」を適用しており、大手携帯電話事業者は、引き続き、このガイドラインに沿って端末購入補助の適正化に取り組むとともに、より多くの利用者がメリットを実感できるよう、料金プランの見直しを更に進めることが期待される。

さらに、低廉なサービスを提供するMVNOの利用が拡大すれば、料金負担の軽減が期待されることから、総務省としては、MVNOのサービス多様化を可能とする加入者管理機能の開放に向けた事業者間の協議を促進し、MVNOの普及拡大を図っていく(図表2)。

図表2 料金低廉化でスマートフォンをIoT時代の生活インフラへ


1 MNP(Mobile Number Portability):電話番号を変更せずに携帯電話事業者を乗り換える制度

2 MVNO(Mobile Virtual Network Operator): 電波の割当てを受けた事業者から無線ネットワークを借りて独自のサービスを提供する事業者

3 ICTサービス安心・安全研究会: http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/ict_anshin/別ウィンドウで開きます

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