これまで企業におけるICTの導入はプロセスにおけるコスト削減が主な目的であったが、IoTにおいてはプロダクトに導入することによる売り上げの増加への期待が高まっている。プロダクトへのIoT導入についてはいくつかの段階がある。
まずは、製品にセンサー、通信モジュールが組み込まれインターネットにつながる段階である。
次に製品から得たデータを利用し、その製品を高付加価値化する段階である。この段階においては、高付加価値化によって自社製品の競争力を強化することによる売り上げ増加が主な効果としてあげられる(図表2-3-2-5)。
最後に製品から得たデータを利活用することによる新たなサービスの創出、あるいは製品のデータを収集、分析するために自社で構築したICT基盤の利活用やアプリケーションの横展開を行う段階である。この段階では製品を販売することだけでなく、サービスも販売することによる売り上げの増加効果が見込まれる(図表2-3-2-6)。
象徴的なプロダクトへのIoT導入事例としてGEのジェットエンジンがある。GEはジェットエンジンにセンサー・通信モジュールを内蔵し、飛行中の航空機からエンジンの状態をリアルタイムでモニタリングできるようにした。その結果、着陸前に故障箇所の把握が可能となり、到着先の空港にて効率的・効果的なメンテナンスが行えるようになった。加えて、自社製品を搭載した航空機のデータを解析することにより、航空機のフライトパターンを最適化するコンサルティングサービスの提供も可能となった。この一連の過程においてGEでは自社でデータの収集・解析をするソフトウェアやクラウドの構築をしており、ジェットエンジンをはじめとした産業機器のデータを収集・解析することに適したクラウドサービス「Predix Cloud」を一般企業向けに展開するに至っている(図表2-3-2-7)。