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第1部 特集 IoT・ビッグデータ・AI〜ネットワークとデータが創造する新たな価値〜
第1節 IoT時代の新たなサービス

1 FinTech

(1)FinTechが注目されている背景

FinTechは、Finance(金融)とTechnology(技術)を組み合わせた造語である。

後述の通り、FinTech分野に投資される金額は近年急激に増加している。この背景としては、スマートフォンが世界的に普及しいつでもどこでもインターネットに接続可能となるなどICTの技術革新・普及が進んだことなどのほか、FinTech特有の点として2008年の世界金融危機の際、米国において既存の金融機関から解雇された従業員がベンチャー企業を立ち上げICTを活用した革新的な金融サービスを提供し始めたことが挙げられる。その後、金融以外の業務を行っていた企業が決済業務や融資業務に進出する例も出てきているほか、特に欧米において既存の金融機関が情報通信分野のイノベーションを取り込むことを目的として、ネット企業等との連携・協働を行う動きも見られる。こうした連携・協働の動きは新しい価値が生み出される可能性をもたらし、FinTechへの期待や投資額が高まっている一因となっていると考えられる。

アクセンチュアの推計によると、FinTechへの投資額はグローバルで2010年に約20億ドルであったのが、2014年には約120億ドルと著しい伸びを示している(図表3-1-1-1)。

図表3-1-1-1 FinTech分野へのグローバルな投資活動
(出典)アクセンチュアおよびCB Insightsのデータをもとに作成1

我が国においても、金融分野における情報通信技術の進展等の環境変化に対応するべく、制度の見直しの動きがあり、2016年(平成28年)5月、「情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律」が国会で可決、成立した。関連する改正点は、銀行法の一部を改正し、従来5%までとされていた銀行による事業会社への出資について、情報通信技術その他の技術の活用により銀行業の高度化又は利用者利便の向上を図る場合には、当局の認可を得て出資することを可能にする点、資金決済法の一部を改正し、仮想通貨と法定通貨の交換業者に登録制を導入して利用者保護のための規制を設けるとともに、犯罪収益移転防止法の一部を改正し、顧客の本人確認を義務付ける点などである。

本項では、FinTechのうち(1)決済・送金、(2)資産管理、(3)融資・調達、(4)ブロックチェーンの4類型について、消費者にも比較的身近と考えられる事例やアンケート調査の結果を基に、意義や社会へ与えるインパクト等の考察を行う。



1 https://www.accenture.com/jp-ja/company-news-releases-20160427-1300別ウィンドウで開きます

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