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第2部 基本データと政策動向
第11節 海外の政策動向

(3)サイバーセキュリティの強化

2015年12月、浙江省烏鎮で開催された第2回世界インターネット大会において、習近平国家主席は、①サイバー主権の尊重、②平和と安全の確保、③開放と協力の促進、④良好な秩序の構築、の「4つの原則」に基づきグローバルなインターネットガバナンス体系の変革を推進するとともに、①グローバルなネットワークインフラの建設加速、②ネットワーク文化交流プラットフォームの創造、③インターネット経済の革新的発展、④サイバーセキュリティの確保、⑤インターネット・ガバナンス体系の構築、の「5つの主張」に基づきサイバー空間における運命共同体を協同で構築すべきと提唱した。

サイバー空間におけるセキュリティ対策の重要性が増す中、法制面の整備も進められている。2015年7月、全国人民代表大会(全人代)で「国家安全法」が採択、公布された。同法においては、サイバー空間に国家の主権が及ぶことを前提とし、国家のネットワーク及び情報安全保障システムを構築し、ネットワーク管理を強化する旨が規定されている。また、2015年7月、全人代は「サイバーセキュリティ法案」を公表し、パブリックコメントを募集した。同法案においては、サイバー空間の主権及び国家の安全維持を立法趣旨とし、ネットワーク製品等の国家規格等への適合義務、重要情報インフラ運営者による重要データの国内保存義務、ネットワーク実名制、禁止情報が発見された場合のネットワーク運営者による伝送停止・当局通報義務、当局による遮断権限等が規定されている。同法案に対しては、外国企業による市場参入や情報の自由な流通が阻害される懸念から、我が国を含む各国政府・業界団体が意見を提出した。さらに、2015年12月に全人代で採択され、翌年1月施行された「反テロ法」においては、通信事業者等に対し、公安機関等による法に基づくテロ活動の予防・調査に対する暗号解読等の技術支援の提供が義務づけられている。

個別分野としては、「銀行業部門のサイバーセキュリティ及び情報開発強化のための安全かつ制御可能な情報技術適用ガイドライン」(2014年9月:銀行業監督管理委員会等)の策定や「保険機構情報化監督管理規定案」(2015年10月:保険監督管理委員会)の意見募集等、金融分野についてセキュリティ強化の取組が積極的に進められている。各国政府や企業からは、これらの規定についても、実質的に外国企業による市場参入や情報の自由な流通を阻害することになる懸念が示されており、今後の進展が注目される。

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