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第1部 特集 IoT・ビッグデータ・AI〜ネットワークとデータが創造する新たな価値〜
第1節 IoT時代の新たなサービス

(2)シェアリング・エコノミーの事例

ア 民泊サービス・ホームシェアリング

シェアリング・エコノミーのうち、民泊サービス・ホームシェアリングに関連する事例をまとめたものが下記の表である(図表3-1-2-3)。

図表3-1-2-3 民泊サービス・ホームシェアリングの例
(出典)総務省「IoT時代における新たなICTへの各国ユーザーの意識の分析等に関する調査研究」(平成28年)

米国、中国等の企業が宿泊施設のマーケットプレイスを提供している。我が国においても国家戦略特区において、民泊サービスに取組む事業者が出始めている。

STAY JAPANは、マンションや一軒家の空き部屋のオーナーと旅行者等の宿泊希望者をマッチングするサービスである。国家戦略特別区域法に準拠し、法律の範囲内で民泊サービスを提供している。国家戦略特区において、特区民泊を認める条例が施行される動きに合わせて、2016年2月には東京都大田区、2016年4月には大阪府においてサービス提供を開始した。同社は2016年12月までに合計約3,600物件の提供を目指している。

Airbnbは2015年末時点で累計の利用者数が世界で7,000万人を超え、200万件以上の部屋が登録されており、今やこの種のサービスとしては利用者数や登録部屋数では世界最大規模となっている。

図表3-1-2-4 Airbnbのサービスイメージ
(出典)総務省「社会課題解決のための新たなICTサービス・技術への人々の意識に関する調査研究」(平成27年)

同社ではホストとゲストとの相互レビュー、写真入り身分証明書などから本人確認を行うID認証、利用者に起因する損害を補償するホスト保証制度を導入するなど、ユーザー間の信頼性を担保しより高める工夫を行っている。2015年の全世界におけるAirbnbのゲスト数延べ3500万人に対しホストの施設における1000米ドル以上の物損は455件、割合にして0.0013%にとどまっており、こうした信頼性を担保する工夫が機能している様子がうかがえる。

同社の世界的な調査によると、Airbnbに登録されている宿泊施設の80%以上は、宿泊施設を提供するホストが自らの自宅の空き部屋を貸し出すものであるとしている。このようないわゆるホームシェアリングは、前述のように既存資産の有効活用といったメリットに加え、イベント時13等宿泊需要に応じて柔軟かつ弾力的に宿泊施設を提供できるというメリットがある。一方、デメリットがあることも指摘されている。前述の「民泊サービス」のあり方に関する検討会で発表されている資料14によると、地方自治体には民泊サービスに関する騒音やごみ出し等に関する苦情が多数寄せられている実態があり、地域住民等とのトラブル防止等にも留意が必要となっている。

イ その他のシェアリング・エコノミー

民泊サービスに限らず、我が国においても様々なシェアリング・エコノミーサービスが登場している。民泊サービス以外のシェアリング・エコノミーに関連する事例をまとめたものが下記の表である(図表3-1-2-5)。

図表3-1-2-5 その他シェアリング・エコノミーサービスの例
(出典)総務省「IoT時代における新たなICTへの各国ユーザーの意識の分析等に関する調査研究」(平成28年)

本項冒頭にて前述のとおり、シェアリング・エコノミーには貸主借主双方にとってメリットがあり、マクロ的に見ても個人の多様な需要への対応や社会課題の解決等につながることが期待されるが、一方で、安全の確保、利用者の保護等の観点から課題も存在する。上記の事例で取り上げた、UberやLyftのような一般のドライバーの自家用車に乗って目的地まで移動できるサービスに関しては、運行管理や車両整備等について責任を負う主体を置かないままに、自家用車のドライバーのみが運送責任を負う形態を前提としている点が主な課題となっている。



13 一例として2016年リオデジャネイロオリンピックの開催期間中に2万件の宿泊施設の提供を仲介することを予定している。

14 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000110163.html別ウィンドウで開きます

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