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第1部 特集 IoT・ビッグデータ・AI〜ネットワークとデータが創造する新たな価値〜
第3節 公共分野における先端的ICT利活用事例

(2)プログラミング教育

ア プログラミング教育の状況

ICTが世界的に普及し、産業や生活の基盤的な役割を果たすようになる中で、日本においてもプログラミング教育の充実を図る動きが始まっている。例えば、2016年の「日本再興戦略」では、「初等中等教育において、(中略)必要な情報を活用して新たな価値を創造していくために必要となる情報活用能力の育成(プログラミングを含む)が必要である」とされている。

プログラミング教育についてはこうした政府の動きだけでなく、IT業界をはじめとした民間企業や自治体でも先行した取り組みがみられる。その中では子どもが親しみやすいビジュアルなプログラミング言語を活用したり、本格的なプログラミング教育を小学生に行う取組など多様な事例がみられる(図表3-3-2-6)。

図表3-3-2-6 プログラミング教育の事例
(出典)総務省「IoT時代における新たなICTへの各国ユーザーの意識の分析等に関する調査研究」(平成28年)
イ PEG(Programming Education Gathering)の取組概要

PEG(Programming Education Gathering)は、NPO法人CANVASが主催し、後援企業、学校・自治体・教育関係団体などにより編成されたプロジェクトである。CANVASは産学官連携で創造的な学びの場をつくることを目的に2002年11月に設立された。その取組内容はICT関連に限られておらず多彩なものであり、中には放課後学童クラブでのワークショップ、環境教育のための紙芝居の政策・普及なども含まれているが、設立当時からプログラミング教育の普及にも取り組んでおり、最近では中核的なプロジェクトの一環としてプログラミング学習普及プロジェクト「PEG(Programming Education Gathering)」が実施されている。

PEGでは2014年から1年間に「パートナー」と呼ばれる全国の教育関係者や企業・団体を対象に5,000台の小型コンピュータ「Raspberry Pi」を配布し、約2万5千人の子どもに体験イベントなどを通じてプログラミング学習の機会を提供した。また、子どもたちを指導する人(約1,000名)を対象として研修やカリキュラムを提供している(図表3-3-2-7)。

図表3-3-2-7 PEGのパートナーの分布
(出典)NPO法人CANVAS HP

このような大規模な取組みは、民間企業(Google等)の後援を受けて実施されている。また、CANVASの理事にはICT教育の専門家が名を連ねており、産学連携の取り組みという側面も持っている。

なお、PEGの取組は一部の学校でも導入されており、技術家庭科などの学科での活用、クラブ活動での活用など多様な取組が実施されている。

ウ PEGの地域における展開例〜横須賀市の事例

横須賀市では2014年3月にPEGによる小学生を対象としたプログラミング体験教室が開かれた。それを受けて2015年度からは市独自の取り組みとして、年間を通した定期的な「小学生プログラミング体験教室」が開催されている。

具体的には、原則として毎月第3土曜日に小学3〜6年生20名(夏休みは親子10組)を対象としたプログラミング体験教室を午前・午後の2回開催している。会場は生涯学習施設である「まなび館」でRaspberry Piが21台常設されている。講師は地元の関東学院大学理工学部の教員等が務め、同大学の大学院生がサポーターとして配置されており、地域の中で企画・運営する体制ができあがっている(図表3-3-2-8)。

図表3-3-2-8 「小学生プログラミング体験教室」の様子
(出典)横須賀まなび館HP10

内容は基本的にはPEGで実施してきたものであり、Raspberry Piの起動や操作を行ったり、スクラッチという米国・MITのメディアラボが開発・提供しているアニメーションを作成するためのビジュアルなプログラミング言語を使って簡単なゲームを作成している。2015年の途中からはさらに学びたい子どものために「中級講座」が開設されて、より進んだレベルのプログラミングを学習している(図表3-3-2-9)。

図表3-3-2-9 Raspberry Pi
(出典)横須賀まなび館HP10

教室で作成されたゲーム作品はスクラッチのWebサイトに公開され、子どもたちの学習意欲を高めている。

2015年の取り組みが好評だったため、2016年度も20回程度の開催が予定されている(図表3-3-2-10)。

図表3-3-2-10 スクラッチのプログラム作成画面
(出典)スクラッチHP11


10 http://manabikan.net/programming.html別ウィンドウで開きます

11 https://scratch.mit.edu/projects/editor/?tip_bar=home別ウィンドウで開きます

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