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第1部 特集 IoT・ビッグデータ・AI〜ネットワークとデータが創造する新たな価値〜
第1節 ICTの進化と雇用、働き方

(1)テレワーク

テレワークとは、ICTを活用した、時間と場所を有効に活用できる柔軟な働き方のことである。

就労者にとっては、時間と場所を有効に活用できる柔軟な働き方が可能となるため、ワーク・ライフ・バランスの向上や通勤による疲労軽減、地方における就業機会の増加などが期待される。企業にとっては、従業員の生産性向上や災害時やパンデミック発生時における事業継続性の確保、人材流出の防止策として期待される。そして、社会全体にとっては、子育てや介護等を理由とした離職の抑制や、高齢者や障害者等の就業機会の拡大による、労働力の確保として期待されている。

このように、テレワークは就労者、企業、社会全体に対して広く効果があると期待されているが、企業での導入や就労者における認知は十分には進んでいない。

ア 我が国企業のテレワーク導入状況

総務省「平成27年通信利用動向調査」によると、我が国でテレワーク2を「導入している」と回答した企業は16.2%にとどまり、「導入していないが、具体的に導入予定がある」と回答した企業と合わせても全体の2割程度となっている(図表4-1-3-1)。他方、テレワークを「導入している」と回答した企業に対して、テレワーク導入による効果の有無を尋ねたところ、「非常に効果があった」と「ある程度効果があった」を合わせて8割以上の企業が「効果があった」と回答している(図表4-1-3-2)。

図表4-1-3-1 我が国企業のテレワーク導入状況
(出典)総務省「平成27年通信利用動向調査」
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図表4-1-3-2 我が国のテレワーク導入企業における導入効果
(出典)総務省「平成27年通信利用動向調査」
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このように、我が国企業のテレワークの導入率は必ずしも高くはないが、テレワークを導入した企業の多くが導入の効果を実感しており、企業におけるテレワーク導入の意義を示唆する結果となっている。

イ テレワークに対する就労者意識の日米比較

それでは、就労者の側では、テレワークについてどのように考えているのだろうか。今回日米の就労者モニターを対象に、テレワークの認知度と、実施意向についてのアンケート調査3を実施した。

テレワークの認知度については、日本の就労者のうち、テレワークを「実際に経験したことがあり、すべてをよく知っている」と回答した人は2.3%、「具体的な内容までよく知っている」と回答した人は4.7%にとどまり、「ほとんど聞いたことがない」と回答した人が54.2%と過半数にのぼった。これに対し、米国の就労者では、テレワークを「実際に経験したことがあり、すべてをよく知っている」と回答した人が12.8%、「具体的な内容までよく知っている」と回答した人が14.3%となり、「ほとんど聞いたことがない」と回答した人は日本の約半分の25.5%にとどまった(図表4-1-3-3)。

図表4-1-3-3 就労者におけるテレワークの認知度(日米)
(出典)総務省「ICTの進化が雇用と働き方に及ぼす影響に関する調査研究」(平成28年)より作成
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テレワークの実施意向についても、日米の差は大きく、米国の就労者の約6割が「テレワークを実施してみたい」と回答したのに対して、日本の就労者で「テレワークを実施してみたい」と回答した人の割合は、米国の半分の約3割にとどまった(図表4-1-3-4)。

図表4-1-3-4 就労者におけるテレワークの実施意向(日米)
(出典)総務省「ICTの進化が雇用と働き方に及ぼす影響に関する調査研究」(平成28年)より作成
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テレワークについてよく知っている人ほど、テレワークを実施してみたいと考える傾向にある。日本の就労者のうち、テレワークを「実際に経験したことがあり、すべてをよく知っている」と回答した人の8割が「テレワークを実施してみたい」と回答している。また、テレワークの「具体的な内容までよく知っている」と回答した人の75.0%、テレワークの「概要ぐらいまでなら知っている」と回答した人の約6割が「テレワークを実施してみたい」と回答している。これに対し、テレワークについて「聞いたことがある程度」あるいは「ほとんど聞いたことがない」と回答した人のテレワーク実施意向は、それぞれ35.0%と13.7%にとどまっている。(図表4-1-3-5)。

図表4-1-3-5 我が国就労者におけるテレワークの実施意向(認知度別)
(出典)総務省「ICTの進化が雇用と働き方に及ぼす影響に関する調査研究」(平成28年)より作成
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我が国ではテレワークの認知度がまだ低く、半数を超える人がテレワークについて「ほとんど聞いたことがない」という状態である。このため、我が国のテレワーク実施意向も全体として低くなっているが、テレワークの認知や経験が広がることで、テレワークの実施意向は高まっていくものと予想される。



2 テレワークには、在宅勤務、サテライトオフィス勤務、モバイルワークを含む。

3 日米就労者アンケートの実施条件については巻末の付注6-1を参照。

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