総務省トップ > 政策 > 白書 > 28年版 > 通信機器
第1部 特集 IoT・ビッグデータ・AI〜ネットワークとデータが創造する新たな価値〜
第2節 市場規模等の定量的な検証

(2)通信機器

ア 固定通信機器市場

通信インフラは、様々なネットワーク機器・設備やそれを支える技術によって成り立っている。例えば、前述した固定ブロードバンドサービスなど、光ファイバー網を介した大容量の通信が増大しており、こうした大容量の伝送の要求に応えるためにWDM17などの光ネットワーク技術の高度化への取組が続いている。近年では、固定ブロードバンドアクセスや後述する移動体通信サービスの拡大に伴い、それを支える基盤としてこうした光ネットワーク技術の利用が進展している。

その代表的な製品である光伝送機器の市場規模についてみてみると、IHS Technologyによれば、近年は横ばいで推移してきたところ、今後はアジア太平洋地域を中心とする通信インフラ整備の進展に伴い、拡大していくと予想されている(図表2-2-4-11)。

図表2-2-4-11 世界の光伝送機器市場(出荷金額)の推移と予測
(出典)IHS Technology
イ 移動体通信機器市場

移動体通信サービスの成長が鈍化することが予想されるなか、移動体通信機器市場を形成してきたマクロ基地局18市場(2G/3G/LTE)も、2G/3G機器のライフサイクルの終焉とともに、2015年をピークに年平均成長率12.3%で縮小していき、2020年には2015年時点の約半分の規模になると予想される。移動体通信システムの世代別で内訳をみると、2015年実績では、これまで大勢を占めた2G/3G基地局市場をLTE基地局市場が逆転している(図表2-2-4-12)。

図表2-2-4-12 移動体通信機器(マクロ基地局)市場の推移及び予測
(出典)IHS Technology

他方、今後LTE-Advancedの本格化及び5Gの導入に向けては、主としてカバレッジを確保するためのマクロ基地局を補完し、システム全体において超高速・大容量のサービスを提供するためのインフラとして、スモールセルの整備展開が進展する見込みである。既に、LTE-Advancedのネットワークにおいても導入されつつある。グローバルでみると、スモールセルは、現状はルーラルエリアや遠隔地における整備が主であるが、エンタプライズ向け需要による押し上げ効果により、2016年には約16億ドルに達すると予想される。地域別でみると今後アジア太平洋地域を中心に大きく成長し、2019年には約24億ドル規模まで拡大すると予想される(図表2-2-4-13)。

図表2-2-4-13 世界のスモールセル市場(出荷金額)の推移及び予測
(出典)IHS Technology

移動体通信機器市場における事業者シェアの推移を示す。従来Ericssonが首位を維持してきたところ、HuaweiやZTE等の中国ベンダーが着実にシェアを拡大している状況である。こうした中国ベンダーに押されながらも、端末事業を売却するなどで選択と集中型の経営を図ってきたNokiaは、通信インフラ事業を強化しており、2015年4月にAlcatel-Lucentの買収を発表した19。経営統合により業界シェアを高め、Ericsson及びHuaweiと競争する体制を整える見通しである。当該の合併により、市場の8割程度を3社が占めるなど、寡占化が一層進みつつある(図表2-2-4-14)。

図表2-2-4-14 世界の移動体通信機器市場における事業者シェアの推移
(出典)IHS Technology


17 Wavelength Division Multiplexing(波長分割多重)の略。1本の光ファイバー上に波長の異なる複数の光信号を多重化して大容量データを伝送する技術であり、これにより既存の光ネットワークを有効活用してコストを抑えながら大容量トラヒックへ柔軟に対応することができる。

18 半径数百メートルから十数キロメートルに及ぶ通信エリアを構築するための基地局であり、移動体サービスのカバレッジを確保するために利用されてきている。

19 http://company.nokia.com/en/news/press-releases/2015/04/15/nokia-and-alcatel-lucent-to-combine-to-create-an-innovation-leader-in-next-generation-technology-and-services-for-an-ip-connected-world別ウィンドウで開きます

テキスト形式のファイルはこちら

ページトップへ戻る