自身に関する情報が公的目的や企業の事業目的で活用される場合、利用者は相手先によって情報を提供するか判断を変えるのであろうか。ここでは情報の活用目的と活用先を例示した上で考えを尋ねた。
8か国とも提供する相手先によらず「条件によっては提供してもよい」の意見が多くなった。これは、事前に公的機関や企業から、自身に関する情報がどのように活用されるか十分な説明が期待されていることの表れと考えられる。
「提供してもよい」に注目して国別にみると、日本、ドイツ、韓国は、全般的に「提供してもよい」を選ばない傾向があった(回答の平均値をとると、日本10.1%、米国23.7%、英国19.6%、ドイツ11.6%、韓国11.4%、中国27.8%、オーストラリア20.7%、インド34.5%であった)。
以降は、公共目的と企業が事業目的で利用する場合のそれぞれを示した上で、どの組織に「提供してもよい」と思うかを尋ねた結果である。
公共目的で利用される場合には、日本、韓国、中国、インドでは、「国」を相手先として挙げるケースが最も高くなった。特に中国では、「国」の回答が6割と非常に高くなった。逆に日本は最も高くなった「国」に対しても17.7%しか、提供してもよいと考えていない。残りの米国、英国、ドイツ、オーストラリアでは、「病院」が最も高くなった(図表3-2-3-1)。
企業の事業目的で行われる場合の国別傾向をみる。日本、米国、ドイツ、韓国、インドでは、「公益事業を行う大企業(交通・電気・ガス・水道・通信など)」が最も高くなった。英国、中国、オーストラリアでは、「銀行・証券・保険などの金融機関」が最も高くなった(図表3-2-3-2)。
パーソナルデータの利活用の目的によって、提供してもよいと考える相手先がアジア圏とその他の国とで異なる結果となった。