総務省トップ > 政策 > 白書 > 28年版 > ウェアラブルデバイスの事例、最近の動き
第1部 特集 IoT・ビッグデータ・AI〜ネットワークとデータが創造する新たな価値〜
第1節 IoT時代の新たなサービス

(2)ウェアラブルデバイスの事例、最近の動き

ウェアラブルデバイスの例をまとめたものが下記の表である(図表3-1-4-3)。

図表3-1-4-3 ウェアラブルデバイスの例
(出典)総務省「IoT時代における新たなICTへの各国ユーザーの意識の分析等に関する調査研究」(平成28年)

ウェアラブルデバイスの分類ごとの特徴について紹介することとする。業務利用分野では、業務効率化、快適なオフィス環境作り、従業員の安全管理等、様々な目的でウェアラブルデバイスが活用されている。ウェアラブル眼鏡(スマートグラス)やヘッドマウントディスプレイにAR(Augumented Reality:拡張現実)・VR(Virtual Reality:仮想現実)技術を適用し、使用者の便益を高めるように情報を表示するサービスが登場している点が特徴的である。

健康管理分野では、使用者の心拍や歩数を計測し、心身の状態を把握できるデバイスが提供されている。計測結果を他デバイスや他サービスと連携させるようなデバイスも登場しており、Misfit FlashはBolt(同社の販売する電球)と連携し、睡眠状態に応じて照明を自動調節できる。また、Oscar社では、使用者の歩数に応じてインセンティブを与える保険プランを提供している。

スポーツ分野では、ゴルフ、野球、テニス等において、スポーツ用品や身体に装着し、スイングフォームのデータを計測して身体の使い方の改善を促すサービスが提供されている。また、医療分野では、直接体内に摂取できるデバイスや、装着できるデバイスが登場している。スポーツや医療の分野でこのようなデバイスが実現可能となった背景には、デバイスの小型化・軽量化が進んだことにより、使用者の負担や違和感が軽減した点が挙げられる。

高速で大容量のデータを低価格でやりとりできる通信網が整備されたことや、VR技術・映像解析技術等が発達したことを受けて、特に業務利用分野において、ウェアラブルデバイスを通して映像データを扱う事例が登場している。以下にVR技術の活用事例として近畿日本ツーリストの事例を紹介する。


<近畿日本ツーリストの事例>

近畿日本ツーリストでは、2014年に新設した「未来創造室」において、2020年以降の団体旅行事業を見据えた新規事業の検討を行っている。ロボットを活用した音声翻訳サービスの提供、旅行や地域をテーマとしたクラウドファンディングサイトの開設等の先進的な取組が試みられている。このような取組の一環として、同社はウェアラブル眼鏡(スマートグラス)を活用したスマートツーリズムの実証を行った。

実証の参加者にはスマートグラスが配布され、特定の場所で利用すると、現実の風景に重なるように過去の再現映像を楽しむことができる(図表3-1-4-4)。これにより、現存しない建造物等の歴史的資源を、現実感を持って体験することができる。

図表3-1-4-4 過去の再現映像のイメージ
(出典)近畿日本ツーリスト提供資料

同社の発表によると、2015年2月〜3月に行われた江戸城天守閣、日本橋再現ツアーには約1,000名の参加申し込みがあり、参加者からも高い評価が得られている。同社は今後も観光ツールとしてウェアラブルデバイスを活用する方針であり、地域の魅力を可視化して発信することや、外国人観光客の誘致に結びつける仕組みを検討している。

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