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第1部 特集 IoT・ビッグデータ・AI〜ネットワークとデータが創造する新たな価値〜
第2節 スマートフォンの普及とICT利活用

(3)情報提供してもよいと考える利用目的

利用者は自身に関連する情報をどのような目的であれば提供してもよいと考えるであろうか。ここでは、公共目的で8パターン、企業の事業目的を6パターンの合計14パターンを示し意見を聞いた。

各国とも提供先の目的によらず「条件によっては提供してもよい」の意見が多くなった。

「提供してもよい」にも注目してみることとする。公共目的では各国とも、「大規模災害などの緊急時の場合」が高くなった。2番目に高くなったのは、日本、ドイツ、韓国では「防災に関わる内容の場合」であり、米国、英国、中国、オーストラリア、インドでは「国家・国民の安全保障に関わる内容の場合(テロ対策・防犯・犯罪捜査など)」となった。これらの結果から、社会の安全確保のためであれば、自身の情報を提供してもよいと考える人が多くなった(図表3-2-3-3)。

図表3-2-3-3 情報提供してもよいと考える利用目的(公共目的)
(出典)総務省「IoT時代における新たなICTへの各国ユーザーの意識の分析等に関する調査研究」(平成28年)
及びみずほ情報総研提供資料(インド及びオーストラリアの調査結果)
「図表3-2-3-3 情報提供してもよいと考える利用目的(公共目的)」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら

次に企業の事業目的の場合をみた。選ばれる目的は同じであったが、順番が異なる結果となった。

日本、米国、英国、ドイツでは、「自分への経済的なメリットが受けられる(割引・ポイント付与・クーポン等)」、「自分へのサービスが向上する(無料で使えるようになる・追加サービスや機能が使えるようになる)」、「製品の機能向上やサービス品質の向上」の順で高くなった。

韓国、オーストラリアでは、「自分へのサービスが向上する(無料で使えるようになる・追加サービスや機能が使えるようになる)」、「自分への経済的なメリットが受けられる(割引・ポイント付与・クーポン等)」、「製品の機能向上やサービス品質の向上」の順で高くなった。

中国とインドは、「自分へのサービスが向上する(無料で使えるようになる・追加サービスや機能が使えるようになる)」、「製品の機能向上やサービス品質の向上」、「自分への経済的なメリットが受けられる(割引・ポイント付与・クーポン等)」の順となった(図表3-2-3-4)。

図表3-2-3-4 情報提供してもよいと考える利用目的(企業の事業目的)
(出典)総務省「IoT時代における新たなICTへの各国ユーザーの意識の分析等に関する調査研究」(平成28年)
及びみずほ情報総研提供資料(インド及びオーストラリアの調査結果)
「図表3-2-3-4 情報提供してもよいと考える利用目的(企業の事業目的)」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら

マイナンバーカード(公的個人認証サービス)の民間開放

平成28年1月から、マイナンバーカード(個人番号カード)の交付が開始された。マイナンバーカードには、法律で定められた税・社会保障・災害にのみしか使えないマイナンバーのほか、民間でも利用できるICチップの空きスペースと公的個人認証の機能が搭載されている。これらの機能は、マイナンバー制度の施行に伴い、総務大臣が認める民間事業者による活用が可能となったものである(図表1)。

図表1 公的個人認証サービスの民間活用

公的個人認証サービスは、オンライン上の様々なサービスを安全・安心に利用できる環境の実現に資するものであるが、当該サービスを活用するにあたっては、マイナンバーカードの普及が重要となる。

総務省では、このような背景の下、平成27年9月から、マイナンバーカードの普及を促進するため、総務大臣が主宰する「個人番号カード・公的個人認証サービス等の利活用推進の在り方に関する懇談会」1を開催した(図表2)。

図表2 懇談会の検討体制

同懇談会では、国民の利便性に資するマイナンバーカード(公的個人認証サービス)の利活用事例を具体化し、実証事業を通じて当該事例の課題の検討を行い、先行導入の実現に向けたアクションプランを検討している。

また、平成28年2月12日には、公的個人認証サービスを利用する民間事業者として法人3社に対し、初の大臣認定を実施しており、その結果母子健康情報サービスの提供など一部商用サービスが開始されている(図表3)。

図表3 母子健康情報サービスの提供

また、平成27年度のマイナンバーカード(公的個人認証サービス)の利活用実証事業等では、コンビニのキオスク端末からの本籍地が住所地と異なる場合の戸籍証明書の取得をはじめ、チケットレスサービス、ケーブルテレビを通じた年金受給に係る生存確認、スマートテレビを通じた避難指示や避難所の住民の早期把握、さらには電子私書箱を活用した保育所の利用申請手続のワンストップサービスについて検討を行った。

平成28年度では、スマートフォンでの利活用の実証などを新たな課題に加えて、引き続き本懇談会で取りまとめているアクションプランのユースケースの早期実現に向けた実証を行う予定となっている(図表4)。

図表4 スマートフォンを利用した公的個人認証サービスの活用方法

本懇談会等を通じて、今後も、国民の利便性向上、企業の生産性向上等に資するマイナンバーカード(公的個人認証サービス)の官民での利活用の拡大に向け、施策を推進していく。

国勢調査におけるオンライン調査の推進

国勢調査は、我が国に居住するすべての人を対象とする国の最も基本的な統計調査であり、大正9年から5年ごとに実施している。調査結果は、国や地方公共団体の少子高齢化対策、社会福祉対策、雇用対策、防災対策等の各種行政施策はもとより、企業、団体その他各方面に幅広く活用されている。総務省では、平成27年10月に実施する国勢調査の円滑な実施や総合的な広報の推進などに取り組むため、総務大臣を本部長とする「平成27年国勢調査実施本部」を平成26年10月に設置した。

平成27年国勢調査では、ICTの進展も踏まえ、正確かつ効率的な統計の作成と国民の負担軽減・利便性の向上を図る等の観点から、オンライン調査を全国で導入した。また、オンライン調査を推進するため、調査票の配布に先行して、インターネット回答の期間を設定し、インターネット回答のなかった世帯のみに調査票を配布する方式(オンライン調査先行方式)で調査を実施し、スマートフォンにも対応したシステムを構築した(図表)。

図表 オンライン調査先行方式の流れ

その結果、平成27年国勢調査のオンライン回答数は1,972万件を超え、人口速報集計結果の世帯数を基に算出すると、インターネット回答率は36.9%となったほか、スマートフォンからの回答のあった割合は、12.7%となり、世界的にみても最大規模のオンライン調査となった。

また、都道府県別のインターネット回答率をみると、滋賀県の47.5%が最も高く、次いで富山県、岐阜県、奈良県、静岡県など、16の県において4割を超えた(平成28年2月現在)。



1 個人番号カード・公的個人認証サービス等の利活用推進の在り方に関する懇談会:
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/mynumber-card/別ウィンドウで開きます

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