シェアリングエコノミーの普及がサービス業における新たな就業の形を実現しつつあるのに対し、製造業における就業形態の革新をもたらす可能性を秘めているのが、デジタルファブリケーションである。
デジタルファブリケーションとは、デジタルデータをもとに創造物を制作する技術のことである。3Dスキャナーや3D CADなどの測定機械により、自分のアイデアや個人の身体データ等をデジタルデータ化した上で、そのようなデジタルデータを3Dプリンターやレーザーカッターなどのデジタル工作機械で読み込んで造形する(図表4-1-3-7)。
デジタルファブリケーションによるメリットは複数あるが、第一にはこれまでの製造技術では作製困難なものが作製できる点があげられる。加えて、個人レベルでの新しいものづくりが可能となり、これまでものをつくる行為に携わっていない人々のものづくりへの参画や、「Fab Lab(ファブラボ)」と呼ばれるデジタルファブリケーション機器が設置された施設を使うことで、組織に属さずとも高度な工作機器を使用した自由なものづくりが可能となり、新しいイノベーション、新しい経済、新しい働き方が生まれると期待されている。
そこで今回、日米の就労者モニターを対象に、デジタルファブリケーションの認知度と実施意向についてのアンケート調査を実施した。その結果は、日本の就労者の約7割がデジタルファブリケーションについて「ほとんど聞いたことがない」と回答したのに対して、米国の就労者でデジタルファブリケーションについて「ほとんど聞いたことがない」と回答した人は35.6%にとどまり、日米で認知度に約2倍の差がみられた(図表4-1-3-8)。
デジタルファブリケーションの実施意向についても、日米の差は大きい。米国の就労者の5割以上がデジタルファブリケーションを「実施してみたい」と回答したのに対して、日本の就労者でデジタルファブリケーションを「実施してみたい」と回答した人の割合は、米国の半分以下の約2割にとどまった(図表4-1-3-9)。