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第1部 特集 IoT・ビッグデータ・AI〜ネットワークとデータが創造する新たな価値〜
第3節 国際的なIoTの進展状況

2 企業におけるIoTの導入

前項ではIoTに係る企業団体、政府の取組について紹介したが、本項では個々の企業がIoTを導入する目的や、導入事例について紹介する。

企業におけるデータの利活用は、まずデータを収集・蓄積することから始まり、現状の可視化・把握から将来の予測、そして最適化という段階を経る。この段階を経るにあたって、企業の業務プロセスが変化したり、既存の製品に加えてそれに付帯するサービスや、あるいはデータに基づくコンサルティングサービスの提供が可能になり、ビジネスモデルの転換が起きる場合もある(図表2-3-2-1)。データを収集・蓄積する段階では、データによる付加価値の創出は小さく、また、利活用が進むにつれどの程度の価値が創出されるのか、というのは事前の予測が非常に難しい。そのため、企業におけるIoTの導入は、クラウドサービスを利用することでスモールスタートし、導入効果を観測しながら拡大していくケースが一般的である。

図表2-3-2-1 企業におけるデータの利活用モデル
(出典)総務省「IoT時代におけるICT産業の構造分析とICTによる経済成長への多面的貢献の検証に関する調査研究」(平成28年)

我が国企業へのアンケート結果によれば、データの収集・蓄積に取り組んでいる企業は51.5%であるのに対し、ビジネスモデルの転換による付加価値の拡大を実現している企業は13.4%となっており、現在は収集・蓄積の段階でとどまっている企業が多数であることが示唆される(図表2-3-2-2)。

図表2-3-2-2 我が国企業におけるデータの利活用状況
(出典)総務省「IoT時代におけるICT産業の構造分析とICTによる経済成長への多面的貢献の検証に関する調査研究」(平成28年)
「図表2-3-2-2 我が国企業におけるデータの利活用状況」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら

企業におけるIoTの導入には、企業がユーザーとして、自社内においてIoTの導入を進める場合と、企業がサプライヤとして提供する財・サービスに対してIoTの導入を進める場合が存在する。以降では前者を“プロセスにおけるIoTの導入”、後者を“プロダクトにおけるIoTの導入”と定義した上で説明を行う。

前述したデータの利活用は、プロセス・プロダクトへのIoTの導入後、プロセス・プロダクトの両面にて同時、あるいは独立して進展していく。プロセスにおいては、まず自社業務に係るデータを収集・蓄積し、可視化することによって人による業務改善が可能になる。データの利活用が進めば、大量のデータを人工知能(AI)等により解析することによって、人による判断を介さずとも機器自体が学習することにより業務改善ができるようになる。また自社において業務改善に成功すれば、例えばコンサルティングサービスやソフトウェアを提供する(プロダクトに展開する)ことも可能になる。プロダクトにおいては、自社製品のデータを収集・蓄積し、可視化、さらには予測することによって消耗具合を人が判断し、保守・運用サービスを効率化することができる。あるいは製品の保守・運用にとどまらない情報サービスを製品に付帯することも可能である。よりデータの利活用が進めば、製品は売らずにレンタルやリースだけにしてサービスで収益を上げたり、プロセスと同様にコンサルティングサービスやソフトウェアを提供することも可能になる(図表2-3-2-3)。

図表2-3-2-3 データの利活用の進展とプロセス・プロダクトにおける進展の対応
(出典)総務省「IoT時代におけるICT産業の構造分析とICTによる経済成長への多面的貢献の検証に関する調査研究」(平成28年)
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