総務省トップ > 政策 > 白書 > 28年版 > IoTに係る諸外国の政策的な取組
第1部 特集 IoT・ビッグデータ・AI〜ネットワークとデータが創造する新たな価値〜
第3節 国際的なIoTの進展状況

(2)IoTに係る諸外国の政策的な取組

IoTによる産業構造や経済へのインパクトに鑑み、諸外国ではIoTの普及促進等に関する政策的な取組が進んでいる。ここでは、標準化に対する意識調査にて、自ら取り組むというスタンスの企業が多かった米国、ドイツ、中国の取組について概観する。

ア 米国

米国で2013年に始まったホワイトハウス直下のプロジェクトであるSmart America Challengeでは、CPS2の社会実装を促進すべく、CPSが新規事業機会及び社会経済的便益の創出につながることを明らかにすることを目的としている。具体的な活動の例として、2014年6月にワシントンD.C.にて展示会を開催した。この展示会には100以上の組織からなる24チームが参加した。また、同年3月に、AT&T、Cisco、GE、IBM、Intelが米国国立標準技術研究所(NIST)の協力を得て、IoTの高度化を目指すコンソーシアムIndustrial Internet Consortium(IIC)を立ち上げ、本プロジェクトを国とともに進展させている。

イ ドイツ

ドイツの官民連携プロジェクト「インダストリー4.0戦略」では、製造業のIoT化を通じて、産業機械・設備や生産プロセス自体をネットワーク化し、注文から出荷までをリアルタイムで管理することでバリューチェーンを結ぶ「第 4 次産業革命」の社会実装を目指している。ドイツ国内の機械業界主要3団体に加え、Bosch、Siemens、Deutsche Telekom、Volkswagen等多くの企業が参加している。

ウ 中国

中国の物聯網はIoTやM2M、ユビキタスネットワークに相当するものである。 2011年11月の「第12次5カ年規画綱要」において物聯網は重点産業分野の一つとされ、先進国がICT化で先行する工業・環境保全・交通・物流・電力・医療・住宅等の分野において、IoTを通じて一気に近代化を進める方針が示された。政府の方針を受けて地方政府(省、市)を中心に、産業化の実現に向けた研究開発拠点の整備、企業誘致が進められている。

各国とも、産業構造や企業の取組等の違いを背景に、政策的な取組においては、それぞれ狙い、対象分野、国の役割等の観点が異なる。米・独では、産業界主導にて進めているが、米国は予算措置は原則無しである一方、ドイツはPPP方式3に基づき予算措置がある。中国は、社会的課題の解決に向けて、国家レベルの計画の下、主に地方自治体が民間と協力して実施しているのが特徴である(図表-2-3-1-3)。

図表2-3-1-3 諸外国のIoTに関する政策的な取組
(出典)総務省「IoT時代におけるICT産業の構造分析とICTによる経済成長への多面的貢献の検証に関する調査研究」(平成28年)


2 Cyber-Physical Systemの略。実世界のデータをセンサーにより収集・観測し、クラウド等のサイバー空間にてデータの処理・分析を行い、その結果得られた価値を実世界に還元すること。IoTとほぼ同義で使われており、Smart America ChallengeのHPでもCyber-Physical Systems(the Internet of Things)と記述されている。(http://smartamerica.org/別ウィンドウで開きます

3 Public-Private Partnershipの略。日本語では公民連携と呼び、官と民がパートナーを組んで事業を行う官民協力の形態のこと。

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