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第2部 基本データと政策動向
第7節 ICT研究開発の推進

(2)未来ICT基盤技術

ア 超高周波ICT技術に関する研究開発

総務省及びNICTでは、ミリ波、テラヘルツ波等の未開拓の超高周波帯を用いて、新しい超高速無線通信方式の基盤技術や、社会インフラの劣化診断等のためのセンシングシステムの研究開発を実施している。平成27年度は、テラヘルツ帯量子カスケードレーザのテラヘルツコムへの位相ロック技術を確立し、非常に高い周波数安定性を達成した。また、テラヘルツ波発生部と検出部を集積化した小型テラヘルツ波プローブを開発し、センササイズ1x1.5mmの小型化と100GHz信号の検出を実現した。さらに、シリコン集積回路で回路レイアウトの工夫により性能を維持しつつ小型化を実現し、世界最高性能のD帯(110〜170GHz)増幅器の開発に成功した。

イ 量子ICT技術に関する研究開発

NICTでは、計算機では解読不可能な量子暗号技術や、微弱な光信号から情報を取り出す量子信号処理に基づく量子通信技術の研究開発を実施している。平成27年度は、量子暗号技術について、長期フィールド試験を継続するとともに、統一的な安全性評価基準項目の選定・文書化、鍵を効率的に上位アプリケーションへと供給するシステムの開発などを実施した。量子通信技術については、光空間通信での実証に向けたプロトタイプの設計、試作等を実施した(図表6-7-6-1)。

図表6-7-6-1 量子通信技術と量子暗号技術のイメージ
ウ ナノICT技術に関する研究開発

NICTでは、ナノメートルサイズの微細構造技術と新規材料により、光子検出器や光変調・スイッチングデバイス等の性能を向上させる研究開発を実施している。平成27年度は、有機ナノICT基盤技術について、EOポリマー光位相変調器をモジュール化し、従来材料では不可能な100GHzでの超高速位相変調動作を確認するとともに、原子層堆積酸化膜被覆により光耐久性向上を実証した。また、超伝導ICT基盤技術について、4ピクセルインターリーブ型超伝導単一光子検出器を作製し、超伝導単一磁束量子回路による信号処理を含めて従来比10倍以上の高速化を実現した。

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