総務省トップ > 政策 > 白書 > 28年版 > 人工知能(AI)導入に対する意識
第1部 特集 IoT・ビッグデータ・AI〜ネットワークとデータが創造する新たな価値〜
第3節 人工知能(AI)の進化が雇用等に与える影響

(2)人工知能(AI)導入に対する意識

現時点での職場への人工知能(AI)の導入は、日米ともにあまり進んでいないが、もし自分の職場に人工知能(AI)が導入される場合、人工知能(AI)の導入を好ましいと考えるか尋ねたところ、日本の就労者では、「好ましい(Aの考え方)」、「どちらにもあてはまらない」と回答した人が多数派を占めた。中でも「どちらにもあてはまらない」が約半数にのぼり、人工知能(AI)の導入が現実味を帯びておらず、利活用のモチベーションが高いとは言えない状況である。他方、米国の就労者では、「好ましい(Aの考え方)」、「好ましいことではない(Bの考え方)」がそれぞれ40.8%、35.4%と高い割合を占めており、人工知能(AI)に対する社会の受容性について、肯定派と否定派がほぼ二分される結果となっている(図表4-3-3-3)。

図表4-3-3-3 自分の職場への人工知能(AI)導入についての賛否
(出典)総務省「ICTの進化が雇用と働き方に及ぼす影響に関する調査研究」(平成28年)より作成
「図表4-3-3-3 自分の職場への人工知能(AI)導入についての賛否」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら

本節第1項(2)の人工知能(AI)による技術革新にて人と人工知能(AI)が仕事のパートナーとなることが期待されていることを述べたが、自分の職場への人工知能(AI)の導入についての、仕事のパートナー(上司・同僚・部下)としての人工知能(AI)の可能性とそれに対する抵抗感について、日米の就労者の意識を尋ねた。

仕事のパートナーとして「非常に大きな抵抗がある」、「ある程度抵抗がある」とみる職場での人間関係として、米国では「同僚」、「部下」を挙げる人が多いが、日本では「上司」を挙げる人が多い。能力主義・実力主義が日本よりも浸透している米国では、常にキャリアアップから取り残される不安と隣り合わせであり、能力・実力を伴うと考えられる人工知能(AI)が同僚や部下である場合には、こうした不安が増長され、抵抗感を持つ人が出ているものと考えられる。他方、日本では、人工知能(AI)の上司は、評価される側の立場から見ると、細かく、かつ厳しい査定が下される可能性があり、疎ましい存在として敬遠される傾向にある(図表4-3-3-4)。

図表4-3-3-4 仕事のパートナーとしての人工知能(AI)の可能性とそれに対する抵抗感
(出典)総務省「ICTの進化が雇用と働き方に及ぼす影響に関する調査研究」(平成28年)より作成
「図表4-3-3-4 仕事のパートナーとしての人工知能(AI)の可能性とそれに対する抵抗感」のExcel(1)はこちらEXCEL / Excel(2)はこちらEXCEL / Excel(3)はこちらEXCEL / CSV(1)はこちら / CSV(2)はこちら / CSV(3)はこちら

日本と米国の仕事のパートナーとしての人工知能(AI)の抵抗感を全体で見ると、日本の方が全体として抵抗感が小さく、人工知能(AI)と一緒に働く際の心理的ハードルが低くなっている。日本では人工知能(AI)導入の賛否(図表4-3-3-3)について「どちらにもあてはまらない」とする人が多く、仕事のパートナーとしての人工知能(AI)に現実味を帯びていないという側面も考えられるが、仕事のパートナーとしての人工知能(AI)をイメージしてみた際の抵抗感が小さいことは、今後の人工知能(AI)普及にとってはプラスの要素になると考えられる。

テキスト形式のファイルはこちら

ページトップへ戻る