総務省トップ > 政策 > 白書 > 28年版 > 新オープン・インターネット規則の発効
第2部 基本データと政策動向
第11節 海外の政策動向

(3)新オープン・インターネット規則の発効

オバマ政権では、オープンなインターネット環境を維持する方針であり、FCCでは、2010年12月、ネット中立性原則に関する規則(オープン・インターネット規則)を採択した。ただし、同規則については、FCCの権限を逸脱するものであるとして提訴され、最終的に、連邦控訴裁判所が2014年1月に同規則について、一部を除き、差し戻す判決を下した。同判決を受け、FCCは、オープン・インターネット規則の改定を進め、2015年2月には、新たなオープン・インターネット規則が採択され、同年6月に一部規定を除き発効した9

同規則を定める命令では、ISPによるブロードバンド・インターネット接続役務を「通信法」第II編に基づく電気通信役務として扱うこととされた。これにより、ISPが特定のトラヒックの伝送に関して有償で優遇措置を与えることや、特定のトラヒックの品質を恣意的に低下させることなどが禁止されるが、技術的なネットワーク管理を目的とした「合理的なネットワーク管理」については正当化されるものとなっている。また、FCCは、インターネットが日々変化しており、ISPによる各種の不当な行為に対応する広範な基準が必要とし、ISPが消費者、コンテンツ・プロバイダに対して不当な妨害や不利益な取扱いを行うことを防止する観点から、「開放的なインターネットのための全般的な行為基準」を策定するほか、ネットワーク相互接続についての苦情を審査する権限も有するものとした。同規則は、固定回線ブロードバンドだけでなく、モバイル・ブロードバンドも適用対象となる。

FCCは、ブロードバンド・インターネット接続役務の分類変更に当たって、第II編で適用されている多くの規律については執行を差し控えるが、「不正または不当な行為」を禁止する規律のほか、消費者からの苦情処理やプライバシー保護10、障害者保護、電柱や導管への公平なアクセスに関する規律については適用する。なお、新規則を定める命令においては、ブロードバンド・インターネット接続役務提供者のユニバーサル・サービス基金への納付は義務付けられていない。通信事業者等は、同規則を不服として連邦控訴裁判所に提訴し、再度裁判となっており、同裁判の口頭弁論は2015年12月に行われた11



9 https://apps.fcc.gov/edocs_public/attachmatch/FCC-15-24A1.pdfPDF

10 プライバシー保護については、FTCの管轄であったが、新たなオープン・インターネット規則により、FCCも管轄することを受け、消費者保護で役割が重複することになった。なお、両機関は、2015年11月に、電話マーケティング取締りに関する消費者保護での協力を確認した。
https://www.ftc.gov/system/files/documents/public_statements/881663/151119netneutrality.pdfPDF

11 http://www.reuters.com/article/us-usa-internet-idUSKBN0TN18D20151204別ウィンドウで開きます

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