総務省トップ > 政策 > 白書 > 28年版 > パーソナルデータに関する国内外の動向
第1部 特集 IoT・ビッグデータ・AI〜ネットワークとデータが創造する新たな価値〜
第2節 スマートフォンの普及とICT利活用

3 パーソナルデータの提供・活用

(1)パーソナルデータに関する国内外の動向

パーソナルデータの利用流通に係る政策動向は、平成25,26年版情報通信白書において取り扱ってきたところであるが、ここでは2015年以降の大きな動きである日本の個人情報保護法改正の内容について紹介する。

情報化の急速な進展により個人の権利侵害の危険性が高まったことを踏まえ、我が国では「個人情報の保護に関する法律(以下、個人情報保護法)」が2003年5月に国会で可決成立、2005年4月から全面施行された。

その後の10年間で、情報ネットワークの一層の発展により膨大な量のパーソナルデータが蓄積できる環境が整った。企業等はこれらのビッグデータを分析することで顧客満足度を高めたサービスを提供したり、新たな商品開発に活かすことができる。しかし一方で、個人情報の範囲が曖昧であったため(グレーゾーンの存在)、どこまでの範囲であれば活用してよいかの判断が困難で、利活用を躊躇しているとの指摘もあった。

併せて、企業活動のグローバル化も進み、個人に関するデータが国境を越えて流通するようになっており、我が国もこれらの取扱いに関し、諸外国における関係各所との一層の協調が求められる状況下にある。

これらの環境変化を踏まえ、2015年9月に改正個人情報保護法が成立した。

改正後、目的(法1条)に「新たな産業の創出」や、「活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現」が入り、個人情報の利活用姿勢が明示された。

データ活用の観点からポイントと考えられる点を3つ挙げると、1つ目は、個人情報の定義の明確化であり、身体的特徴も個人情報に含めるとし、人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴等の慎重な取り扱いが求められる情報を「要配慮個人情報」として定めた。

2つ目は、個人が識別できないように、かつ復元できないようにした「匿名加工情報」の加工方法や取扱い等の規定を設けたことである。同時に、本人同意を得ない第三者提供(オプトアウト規定)の届け出等の厳格化やトレーサビリティの確保を定めている。

3つ目は、個人情報の監視監督権限を有する第三者機関として「個人情報保護委員会」を設置した点である。

このように個人情報の定義がなされたこと、個人情報の匿名加工の方法・取扱いの規定化、個人情報を保護する体制整備によって、パーソナルデータの利活用の促進に向けた環境が整う。

なお、国の行政機関、独立行政法人等が保有する個人情報についても、これを元に作成した非識別加工情報(匿名加工情報)の導入等を内容とする「行政機関の個人情報の保護に関する法律」等の関係法律の改正が2016年5月に行われた。

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