平成11年版 通信白書

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第1章 特集 インターネット

4 EUの動向

EU域内におけるインターネット利用に関する法的枠組みづくりが進行

 EUでは、域内市場の統合が1999年1月の通貨統合によって加速する中、拡大を続けるインターネットの利用に関しても加盟国の利害の調整を図り、整合性を確保した法的枠組みづくりが求められている。最近の主なEUの政策の概要についてみると、以下のとおりである。
1)情報社会分野における加盟国政府による規制に関する指令
 欧州議会及びEU理事会は、それぞれ1998年の5月及び6月に加盟国政府が情報社会分野において新たな規制を設ける場合は、あらかじめ欧州委員会に通知し、当該規制が他の加盟国の規制と整合性がとれたものであるかどうか確認することを義務付ける指令を決定した。なお、本手続きは各国における技術基準の制定に際して既に適用されている。
2)電子商取引に関する指令案(1998年11月)
 域内市場で商品やサービスの自由な移動を保証しているEUは、電子商取引を巡る問題が生じた場合にどの国の法律を適用するかなど法的枠組みを整備する必要に迫られていた。
 こうした中、欧州委員会は、インターネットを通じたEU域内の電子商取引について、原則的に商品やサービスを提供する企業の所在地の法律を適用する一方で、消費者側の懸念を考慮し、消費者保護等の観点から必要と認められる場合には、消費者が住む加盟国が例外的に制限を課すことができるとする指令案を採択した。本指令案は今後、EU理事会及び欧州議会で審議される予定である。
3)違法・有害コンテンツ対策を巡る動き
 1999年1月に欧州議会及びEU理事会は「グローバルネットワーク上の違法および有害情報への対処による安全なインターネット利用の促進に関する行動計画」を決定した。この行動計画では、違法コンテンツへの各国政府の法的対応を求めるほか、産業界に自主規律を求め、有害コンテンツにユーザーが対処できるよう「情報内容の格付け手法」と「フィルタリング技術」の開発を産業界に求めている。
 その上で、1999年から2001年までの3年間で総額2,500万ユーロの補助金を盛り込み、これらの活動支援をすることとした。
 一方、違法・有害コンテンツに対するインターネットサービスプロバイダの責任については、1998年5月のドイツミュンヘン裁判所における大手プロバイダのドイツ・アメリカン・オンライン社に対する有罪判決を機に欧州委員会内で検討が開始されていたが、同年11月に発表された「電子商取引に関する指令案」の一項に仲介のみを行うインターネットサービスプロバイダ(すなわち通信事業者)はコンテンツに関し責任を負わないと記された。本指令案は今後、EU理事会及び欧州議会で審議される予定である。

 

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