平成9年版 通信白書

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第1章 平成8年情報通信の現況

1 国内情報通信の動向

 (1) 電気通信サービス

ア 電話サービス
(ア) 契約数及びサービス提供地域
(NTT)
 NTTの加入電話契約数は、8年9月末現在6,156万契約(対前年同期比1.4%増)となっている。伸び率は、元年度以降減少傾向にある。
 また、加入電話契約を事務用と住宅用とに分けて見ると、8年9月末現在、事務用は1,906万契約(対前年同期比1.2%増)、住宅用は4,250万契約(同1.5%増)である。伸び率は、3年度以降事務用の伸び率が住宅用よりも低い傾向が続いており、契約数の比率は、約2:1で住宅用が多くなっている(第1-1-3図参照)。
(新第一種電気通信事業者)
 長距離系新第一種電気通信事業者3社(第二電電(株)、日本テレコム(株)及び日本高速通信(株))の市外電話サービス契約数(ID登録数の3社単純集計)は、8年9月末現在、3,400万契約(対前年同期比10.9%増)となっている。
 また、これら長距離系の新事業者3社は、いずれも全都道府県(都道府県内の一部地域の場合を含む。)でサービスを提供している。
 一方、地域系新第一種電気通信事業者のうち、唯一加入電話サービスを提供している東京通信ネットワーク(株)の加入電話契約数は、8年9月末現在2万2千契約(同31.0%増)であり、そのサービス提供地域は、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、群馬県、栃木県、茨城県、山梨県及び静岡県の9都県(都県内の一部の地域の場合を含む。)である。
(イ) トラヒック
(総通話回数・総通話時間)
 7年度における加入電話相互間の総通話回数と総通話時間(NTT、第二電電(株)、日本テレコム(株)、日本高速通信(株)及び東京通信ネットワーク(株)の5社合計)は、それぞれ847.1億回(対前年度比1.7%増)、38億9千万時間(同1.3%減)となっている。総通話時間が減少した理由は、携帯・自動車電話やPHSを利用した通話への移行や、マルチメディア化の進展によるISDN及び高速デジタル伝送サービスへの移行が一因として考えられる。ただし、携帯・自動車電話及びPHSとの相互通話を含めた加入電話のトラヒックは、通話回数で6.1%、通話時間で1.2%の伸びを示している。
 総通話回数をNTTと新事業者(4社の合計)別に見ると、NTTが前年度に比べ1.2%増であるのに対して、新事業者は8.8%増となっており、総通話回数に占める新事業者のシェアは、前年度に比べ0.5ポイント増の7.7%となっている。
 また、NTTと新事業者は主に県間通話市場で競争しているが、県間通話回数に占める新事業者のシェアは、31.9%(前年度比0.6ポイント増)と横ばいにある。
 なお、東京都、大阪府、愛知県相互の通話回数に占める新事業者のシェアは、55.8%(前年度比1.7ポイント増)となっており、その半分以上を占めている(第1-1-4図参照)。
(距離段階別通話回数・通話時間)
 総通話回数及び総通話時間を「区域内通話」(市内通話料金(昼間3分10円)で通話できる単位料金区域の中に終始する通話)、「隣接区域との通話」及び「その他の区域との通話」に分けると、区域内通話の通話回数及び通話時間は、521.8億回(総通話回数の61.6%)、21.8億時間(総通話時間の56.1%)、隣接区域との通話が129.6億回(同15.3%)、6.3億時間(同16.3%)、その他の区域との通話が195.7億回(同23.1%)、10.7億時間(同27.6%)である。総通話に対して、区域内通話の占める割合が減少し、市外通話(「隣接区域との通話」及び「その他の区域との通話」)の占める割合が増加する傾向にある。
 NTTと新事業者別に市外通話の通話回数及び通話時間を見ると、NTTについては、260.2億回(対前年度比6.5%増)、13.6億時間(同2.0%減)である。一方、新事業者については、65.0億回(同8.8%増)、3.5億時間(同6.6%増)となっている(第1-1-5図参照)。
(1回当たりの通話時間別通話回数)
 総通話回数を1回当たりの通話時間別に見ると、1分以内の通話の回数が470.1億回で最も多く、シェアは総通話回数の55.5%(対前年度比2.8ポイント増)を占めている。また、1分以内の通話は、前年度より7.2%増加しているが、その他の通話時間における通話は、前年度と比較して減少しており、1通話当たりの通話時間は短くなっている。
 NTTと新事業者別に通話回数の構成を見ると、NTT、新事業者ともにシェアが増加している通話は1分以内の通話で、それぞれ、前年度より2.9ポイント増の56.3%、同2.1ポイント増の45.8%となっている(第1-1-6図参照)。
(時間帯別通話回数)
 1日の時間帯別に総通話回数の構成比を見ると、昼間(8時から19時)は75.3%(対前年度比1.5ポイント減)、夜間・深夜早朝(19時から翌朝8時)は24.7%(同1.5ポイント増)であり、昼間の割合が減少し、夜間・深夜早朝の割合が増加する傾向にある。
 NTTと新事業者別に総通話回数における時間帯別の通話回数構成比を見ると、NTTでは昼間が74.7%(同1.6ポイント減)、夜間・深夜早朝が25.3%(同1.6ポイント増)、新事業者では昼間が82.5%(同1.4ポイント減)、夜間・深夜早朝が17.5%(同1.4ポイント増)である(第1-1-7図参照)。
(ウ) 加入者線交換機端子数
 8年9月末現在のNTTの加入者線交換機の総端子数は、6,411万端子(対前年同期比1.2%増)である。また、すべての端子がID送出可能端子(加入者が発信時に長距離系新事業者を識別するIDを送出可能な端子)であり、NTTの全加入者は長距離系新事業者と加入契約が可能となっている。さらに、高度な電話サービスや料金の多様化を実現するための基礎となるデジタル交換機の端子数は5,948万端子で、総端子数に占める比率は92.8%(同7.1ポイント増)である。
 一方、新事業者である東京通信ネットワーク(株)の加入者線交換機の総端子数は、8年9月末現在、7万4,816端子(対前年同期比31.3%増)であり、全端子がデジタル交換機の端子で、ID送出可能端子である。
(エ) 電話サービスの多様化
 利用者の高度化・多様化するニーズに対応して、新しい電話サービスの実用化が進められている。8年度から新たに提供されたり、機能が拡充された主なサービスは、次のとおりである。
(発信電話番号通知サービス)
 発信電話番号通知サービスとは、電話をかけてきた相手の電話番号が、電話を受けた人の電話機に表示されるサービスである。加入者は、自分の電話番号が通話先に表示(通知)されることを望むのか、非公開(非通知)を望むのか、選択が可能である。このサービスの利用により、迷惑電話の防止のほか、多彩なアプリケーションによる有効活用が期待されている。9年1月からNTTにより、横浜市(神奈川県)、名古屋市(愛知県)及び福岡市(福岡県)の3都市で試験サービスが開始されており、9年度中には、全国導入される予定である。
(転送電話サービスの機能拡充)
 転送電話サービスとは、かかってきた電話を別の電話に転送するサービスであるが、携帯電話等の急速な普及に伴い、場所を選ばず電話を受けたいとするニーズが高まっていることを背景に、従来の「転送でんわサービス」に機能拡充した「ボイスワープ」が、8年6月からNTTによりサービス開始された。「ボイスワープ」では、携帯電話やポケベルへも転送が可能で、外出先の電話や公衆電話からも転送の開始や停止等の操作が可能となるなどの機能が付加されている。
イ 移動通信サービス
(ア) 携帯・自動車電話サービス
(契約数及びサービス提供地域)
 携帯・自動車電話サービスの総契約数(NTTDoCoMo等地域別9社と新第一種電気通信事業者17社の合計)は、8年9月末現在1,531万契約(9年3月末現在の速報値2,088万契約)であり、対前年同期比129.5%増と加入電話と比べて大幅に伸びている(第1-1-8図参照)。また、加入電話の総契約数と比較すると、携帯・自動車電話サービスの契約数は約4分の1となっている。
 8年9月末現在、総契約数をNTTDoCoMo等及び新事業者別に見ると、NTTDoCoMo等の契約数は740万契約(対前年同期比126.0%増)、新事業者の契約数は791万契約(同132.9%増)で、新事業者のシェアは前年同期より0.8ポイント増の51.7%となっており、NTTDoCoMo等のシェアを上回っている。また、総契約数をアナログ及びデジタル方式別に見ると、アナログ方式の契約数は471万契約(対前年同期比7.6%増、8年3月末比3.5%減)であるのに対して、デジタル方式は1,059万契約(対前年同期比362.8%増)と急激な増加を続けている。
 また、アナログ及びデジタル方式別の比率を見ると、デジタル方式のシェアは8年9月末現在69.2%(対前年同期比34.9ポイント増)となっており、デジタル方式の比率の増加が顕著である(第1-1-9図参照)。
 このような携帯・自動車電話サービスの著しい成長の背景としては、NTTからの移動体通信部門の分離・分割による公正有効な競争環境の整備や、活発な新規参入による1地域3社又は4社体制(PHSサービスを併せると、移動体通信市場全体では1地域6社又は7社体制)という世界的に見て最も競争の進んだ市場の実現、端末売り切り制の導入、デジタル方式のサービス開始や端末の小型化、軽量化等の技術革新といった要因により、結果として急速な料金の低廉化、多様化が進んだことが挙げられる(第1-1-10図参照)。
(トラヒック)
 7年度における携帯・自動車電話サービスの総通話回数と総通話時間(NTTDoCoMo等地域別9社と新第一種電気通信事業者16社の合計)は、それぞれ87.3億回(対前年度比109.3%増)、2億2,099万時間(同111.1%増)である。
 総通話回数をNTTDoCoMo等と新事業者(16社の合計)別に見ると、NTTDoCoMo等は44.1億回(同94.3%増)、新事業者は43.1億回(同126.8%増)となっており、総通話回数に占める新事業者のシェアは、49.4%(対前年度比3.9ポイント増)で、約5割を占めている。
 距離段階別の通話回数及び通話時間を見ると、160km以内の通話では、83.8億回(総通話回数の96.1%)、2億620万時間(総通話時間の93.3%)であり、160kmを超える通話では、3.4億回(同3.9%)、1,479万時間(同6.7%)となっている。距離段階別の構成比は前年度同様、160kmを超える通話が極めて少なく、近距離の通話を中心に利用されている傾向が続いている(第1-1-11図参照)。
 1回当たりの平均通話時間を加入電話と比較すると、加入電話は2分45秒であるのに対して、携帯・自動車電話は1分31秒であり、携帯・自動車電話は簡潔な通話に利用されていることがうかがえる。
 1日の時間帯別に総通話回数の構成比を見ると、昼間(8時から19時)は70.5%、夜間・深夜早朝(19時から翌朝8時)は29.5%であり、夜間・深夜早朝の割合が、加入電話(24.7%)に比べてやや高くなっており、個人利用者が多いことが推察される(第1-1-12図参照)。
 携帯・自動車電話と加入電話との相互通話の状況を見ると、携帯・自動車電話から加入電話へ発信した通話回数は43.4億回、加入電話から携帯・自動車電話へ着信した通話回数は31.0億回となっており、携帯・自動車電話からの発信が着信より多くなっている。また、携帯・自動車電話相互間の通話は12.8億回で、携帯・自動車電話の総通話回数87.3億回の14.7%、加入電話を含めた総通話回数934.4億回の1.4%にとどまっている(第1-1-13表参照)。
(イ) PHSサービス
(契約数及びサービス提供地域)
 PHSサービスは、移動通信サービスの一つであり、携帯・自動車電話に比べてカバーエリアが狭い、高速移動中は使用できないなどの制約があるが、利用料金が安く、端末が小型軽量で、32kbpsの高速データ通信が可能であるなどの特徴を有している。7年7月の首都圏、札幌市(北海道)でのサービス開始以来、エヌ・ティ・ティパーソナル通信網グループ9社、ディーディーアイポケット電話グループ9社、アステルグループ10社が順次サービスを開始し、1地域3社体制の競争市場となっている。
 PHSサービスの総契約数は、8年9月末現在396万契約(9年3月末現在の速報値603万契約)であり、対前年同期比2,889%増と、サービス開始後の1年間で爆発的に増加している(第1-1-14図参照)。
(トラヒック)
 7年度におけるPHSサービスの総通話回数と総通話時間(エヌ・ティ・ティパーソナル通信網グループ9社、ディーディーアイポケット電話グループ9社、アステルグループ8社の合計)は、それぞれ2.2億回、690万時間である。
 距離段階別の通話回数及び通話時間を見ると、区域内(加入電話における市内通話料金(昼間3分10円)で通話できる単位料金区域と同等)の通話では、1億3,500万回(総通話回数の76.2%)、325万時間(総通話時間の69.1%)であり、隣接区域の通話では、1,700万回(同9.8%)、56万時間(同11.9%)、その他の通話では、2,500万回(同14.0%)、89万時間(同19.0%)となっており、区域内の通話に利用される比重が高い(第1-1-15図参照)。
 1日の時間帯別に総通話回数の構成比を見ると、昼間(8時から19時)は64.9%、夜間・深夜早朝(19時から翌朝8時)は35.1%であり、夜間・深夜早朝の割合が、加入電話(24.7%)、携帯・自動車電話(29.5%)に比べてやや高くなっている(第1-1-12図参照)。
 PHSと加入電話との相互通話の状況を見ると、PHSから加入電話へ発信した通話回数は1.7億回、加入電話からPHSへ着信した通話回数は0.5億回となっており、PHSが発信中心に利用されていることが分かる。また、PHS相互間の通話は0.1億回で、PHSの総通話回数2.2億回の4.5%、加入電話を含めた総通話回数849.3億回の0.01%にとどまっている(第1-1-13表参照)。なお、携帯・自動車電話との相互間の通話は、8年7月から10月にかけて事業者ごとに順次可能になった。
(ウ) 無線呼出しサービス
 無線呼出しサービスの総契約数(NTTDoCoMo等地域別9社と新第一種電気通信事業者31社の合計)は、8年9月末現在1,063万契約であり、伸び率は前年度に比べ鈍化(14.1ポイント減)しており、対前年同期比2.9%増にとどまっている。これは、携帯・自動車電話サービス及びPHSサービスの利用料金の低廉化、端末の低価格化等による急速な普及が一因と考えられる。
 総契約数をNTTDoCoMo等及び新事業者別に見ると、8年9月末現在NTTDoCoMo等の契約数は637万契約(対前年同期比5.3%増)、新事業者の契約数は426万契約(同0.4%減)である。総契約数における新事業者のシェアは40.1%である(第1-1-16図参照)。
(エ) その他の移動通信サービス
 第一種電気通信事業者が提供するその他の移動通信サービスとしては、NTTが提供している列車公衆電話、NTTDoCoMoが提供している船舶電話、航空機公衆電話等と、新事業者が提供しているマリネット電話サービス、テレターミナルサービス、CRP(簡易型陸上移動無線電話)がある。
 また、8年3月、NTTDoCoMoにより、新たに衛星を利用した携帯・自動車電話及び船舶電話のサービスが開始された。このサービスは、通信衛星N-STARa及びN-STARbにより提供されている。
ウ ISDNサービス
 ISDNサービスは、高度化、多様化する情報通信のニーズにこたえるため、音声、ファクシミリ、データ、映像等の情報を大量、高品質かつ経済的に伝送することを可能としたデジタルネットワークにより提供するサービスである。
 ISDNサービスの普及は、従来から、企業の売上高管理等のPOSデータ通信や、テレビ会議等の映像伝送等を中心に、企業活動における高速通信向けサービスとして拡大してきた。
 さらに、近年、インターネットやパソコン通信の利用の拡大に伴い、一般家庭においても、ISDNサービスが導入されてきている。これについては、電話回線に比べて伝送容量が大きいため、インターネットやパソコン通信を利用する際、高速なデータ伝送が可能であること、インターネットやパソコン通信にアクセス中であっても、その間、電話の利用が可能であることなどの利便性や、導入する際に必要となる接続装置等の初期費用が、近年低廉化の動きにあることが要因として挙げられる。
 ISDNサービスには、64kbpsの伝送速度で2チャネル同時に利用できる基本インターフェースサービスと、最大1.5Mbpsの伝送容量で利用できる一次群速度インターフェースによるものとがある。9年3月末現在、NTTのほか、大阪メディアポート(株)、(株)四国情報通信ネットワーク、北海道総合通信網(株)、東北インテリジェント通信(株)、中部テレコミュニケーション(株)、北陸通信ネットワーク(株)が提供している。
 また、NTTでは、インターネットやパソコン通信の利用に対応する需要喚起型のサービスとして、8年2月から、深夜早朝時間帯月極定額サービスを一般家庭向けに開始したのに続き、9月からビジネスユーザー向けにも同サービスの提供が開始された(詳細については第1-1-44表を参照)。
 ISDNサービスの回線数は、8年9月末現在、基本インターフェースが74万4,055回線(対前年同期比82.4%増)、一次群速度インターフェースが1万3,800回線(同76.6%増)である(第1-1-17図参照)。
エ 専用サービス
(ア) 高速デジタル伝送サービス
 高速デジタル伝送サービスは、1)電話やファクシミリ、データ伝送等の多目的利用の通信、2)LAN相互間の高速データ伝送、3)広帯域を要するテレビ会議等の企業情報通信ネットワーク等の回線として利用されている。
 高速デジタル伝送サービスの総回線数(NTTと長距離系及び地域系新第一種電気通信事業者の合計15社の総数)は、8年9月末現在、9万7,465回線(対前年同期比87.8%増)と高い伸びを示している。このうち新事業者の回線数は1万7,467回線(同62.6%増)で、総回線数に占めるシェアは17.9%(同2.8ポイント減)である(第1-1-18図参照)。
 高速品目(64kbps〜6Mbps)のうち、回線数の伸びは、64kbps回線(対前年同期比98.6%増)、128kbps回線(同200.8%増)といった低速度回線で大きい傾向にある。また、新事業者のシェアは、1.5Mbps回線(48.0%)、3Mbps回線(45.6%)、6Mbps回線(51.2%)といった高速度回線で大きい(第1-1-19表参照)。
 超高速品目(50Mbps、150Mbps)については、7年9月末には、提供回線数が合計20回線のみであったが、8年9月末現在では、50Mbpsが77回線、150Mbpsが37回線の合計114回線(対前年同期比470.0%増)と急増した。これは、第二種電気通信事業者や企業通信ネットワークのバックボーン等で主に利用されている。
(イ) 一般専用サービス
 一般専用サービスは、1)電話、ファクシミリ通信、2)銀行の預金業務のオンライン処理、3)航空会社の座席予約業務のリアルタイム処理、4)流通業のPOSシステム等のデータ伝送、5)放送業のラジオ放送中継等に利用されている。一般専用サービスには、アナログ伝送により決められた周波数帯域を利用できる「帯域品目」と、デジタル伝送により速度を保証している「符号品目」がある。
 一般専用サービスの総回線数(NTT、長距離系及び地域系新第一種電気通信事業者14社の合計)は、8年9月末現在100万1,032回線(対前年同期比3.2%減)である。
 これを帯域品目・符号品目別に見ると、帯域品目の総回線数は69万6,325回線(同0.1%減)と減少に転じている。このうち電話網相当の規格を有する3.4kHz回線と音声伝送回線が98.7%と大部分を占めており、これらの回線数の合計は68万7,049回線(対前年同期比0.03%減)である。
 一方、符号品目の総回線数も30万4,707回線(対前年同期比9.6%減)と減少している。これは、符号品目の回線の77.9%を占める最も低速の50bps回線が23万7,436回線(同10.1%減)と減少したことによる影響が大きいためである(第1-1-20図参照)。
 また、新事業者の総回線数は2万252回線であり、一般専用線の総回線数におけるシェアは2.0%(同0.1ポイント増)と小さい。
(ウ) その他の専用サービス
 その他の専用サービスには、映像伝送サービス、テレビジョン放送中継サービス、無線専用サービス、衛星通信サービスがある。
オ デジタルデータ伝送サービス
(ア) パケット交換サービス
 パケット交換サービスは、データを一定長以下のパケットに区切って交換機に蓄積して伝送するパケット交換方式によるサービスである。全データの伝送が終わるまで回線を専有する回線交換方式に比べ、回線を共有できるなどの点で効率的な方式である。
 パケット交換サービスの提供は、9年3月末現在、NTT等4社の第一種電気通信事業者により提供されている。
 NTTによるパケット交換サービスの回線数は、8年12月末現在、47万5千回線(対前年同期比2.6%増)である。特に、加入電話網を介してパケット交換網に簡単にアクセスできる第2種パケット交換サービスの回線数は、8年12月末現在44万3千回線(同3.2%増)で、伸びは鈍化しているものの増加傾向にある(第1-1-21図参照)。
(イ) フレームリレーサービス
 フレームリレーサービスは、ネットワークにおける処理を簡素化することで、従来からのパケット交換方式よりも高速のデータ伝送・交換を可能とするフレームリレー方式により、64kbpsから1.5Mbpsまでの通信速度に対応した、LAN間通信等に用いられるサービスである。
 フレームリレーサービスの提供は、5年1月からスターネット(株)等の第二種電気通信事業者が提供を開始しており、6年11月からNTT、日本テレコム(株)等の第一種電気通信事業者による提供が行われている。9年3月末現在、第一種電気通信事業者では8社により提供されている。
 第一種電気通信事業者が提供するフレームリレーサービスの回線数は、8年12月末現在1万1,433回線である(第1-1-22図参照)。
(ウ) セルリレーサービス
 セルリレーサービスは、ATM技術を利用し、パケット通信やフレームリレーと異なり、固定長のデータを情報単位として扱うことにより、ハードウェアによる交換処理が可能となり、さらに、通信処理を簡略化することにより、6Mbpsの高速通信に対応したサービスである。
 セルリレーサービスの提供は、9年3月末現在、NTT等3社の第一種電気通信事業者により提供されている。
 第一種電気通信事業者が提供するセルリレーサービスの回線数は、8年12月末現在7回線である。
カ 衛星通信サービス
 衛星通信サービスは、9年3月末現在、(株)日本サテライトシステムズのJCSAT-1、JCSAT-2及びJCSAT-3、宇宙通信(株)のスーパーバードA及びスーパーバードB、NTTのN-STARa及びN-STARb、ハチソン・コーポレイト・アクセス・プライベート・リミテッドのAsiaSat2、パン・アム・サットコーポレーションのPAS2の9機の通信衛星により行われており、総トランスポンダ(電波中継器)数は264本(JCSATの104本、スーパーバードの52本、N-STARの52本、AsiaSat2の24本、PAS2の32本)であり、そのうち通信用で利用しているものは166.5本である。また、通信衛星を利用して情報の送受信を行う地球局として無線局免許を受けているのは、8年9月末現在6,093局である。
キ 電報サービス
 電報サービスは、NTTにより提供されており、その総通数は7年度において4,139万通であった。総通数は4年度より漸減傾向が続いており、7年度は対前年度比4.4%の減少となっている。昭和60年度以降にサービスが開始された「メロディ」、「押し花」等の付加価値電報の通数は、2,974万通(対前年度比1.9%増)であった。付加価値電報の慶弔電報に占める割合は78.0%と前年度に比べて5.3ポイント増加している。
 8年度上半期についても、総通数は1,900万通(対前年同期比4.8%減)と減少しており、付加価値電報の通数は1,379万通(同1.6%減)、付加価値電報の慶弔電報に占める割合は80.0%(同3.6ポイント増)となっている。
ク ビデオテックス通信サービス
 ビデオテックス通信サービスは、NTTによりキャプテン方式によるものが提供されており、その利用契約数は、8年9月末現在、28万5千回線(対前年同期比46.4%増)である。
ケ ファクシミリ通信網サービス
 ファクシミリ通信網サービスは、送信情報の蓄積機能等の付加機能がネットワークに付与され、ネットワークが同報通信等のサービスを提供するものであり、NTTにより提供されている。ファクシミリ通信網サービスの契約数は、8年9月末現在、91万3千回線(対前年同期比25.3%増)である。8年11月、パソコン等で作成した文書、各種データをファクシミリ通信網でファイル形式のまま送受信が可能なファイル転送サービスが開始された。
コ オフトーク通信サービス
 オフトーク通信サービスは、加入電話等の利用者に対して、電話等で使用されていない時の回線を利用し、情報提供センターから音声等により情報提供を行うサービスであり、NTTにより提供されている。オフトーク通信サービスの契約数は、8年9月末現在29万8千回線(対前年同期比6.0%増)であり、情報提供センター数は200である。

第1-1-3図 NTT加入電話契約数伸び率(対前年比)の推移
第1-1-3図 NTT加入電話契約数伸び率(対前年比)の推移(1)
第1-1-3図 NTT加入電話契約数伸び率(対前年比)の推移(2)

第1-1-4図 NTT、新事業者の通話回数におけるシェア
第1-1-4図 NTT,新事業者の通話回数におけるシェア

第1-1-5 図電話サービス 距離段階別通話回数及び通話時間

第1-1-6図 電話サービス 一回あたりの通話時間別通話回数
第1-1-6図 電話サービス 一回あたりの通話時間別通話回数

第1-1-7図 電話サービス 時間帯別通話回数の構成比
第1-1-7図 電話サービス 時間帯別通話回数の構成比(1)
第1-1-7図 電話サービス 時間帯別通話回数の構成比(2)

第1-1-8図 携帯・自動車電話契約数及び伸び率(対前年同期比)の推移
第1-1-8図 携帯・自動車電話契約数及び伸び率(対前年同期比)の推移(1)
第1-1-8図 携帯・自動車電話契約数及び伸び率(対前年同期比)の推移(2)

第1-1-9図 携帯・自動車電話アナログ・デジタル方式別契約数の推移
第1-1-9図 携帯・自動車電話アナログ・デジタル方式別契約数の推移(1)
第1-1-9図 携帯・自動車電話アナログ・デジタル方式別契約数の推移(2)

第1-1-10図 第一種電気通信事業者の携帯・自動車電話サービスの提供地域
第1-1-10図 第一種電気通信事業者の携帯・自動車電話サービスの提供地域(8年度末現在)

第1-1-11図 携帯・自動車電話サービス 距離区分別通話回数・通話時間
第1-1-11図 携帯・自動車電話サービス 距離区分別通話回数・通話時間

第1-1-12図 携帯・自動車電話サービス 時間帯別通話回数の構成比
第1-1-12図 携帯・自動車電話サービス 時間帯別通話回数の構成比(1)
第1-1-12図 携帯・自動車電話サービス 時間帯別通話回数の構成比(2)

第1-1-13表 加入電話、携帯・自動車電話及びPHSの相互通話状況
第1-1-13表 加入電話、携帯・自動車電話及びPHSの相互通話状況

第1-1-14図 PHS契約数の推移
第1-1-14図 PHS契約数の推移(1)
第1-1-14図 PHS契約数の推移(2)

第1-1-15図 PHSサービス、距離区分別通話回数・通話時間
第1-1-15図 PHSサービス、距離区分別通話回数・通話時間

第1-1-16図 無線呼出し契約数及び新事業者のシェアの推移
第1-1-16図 無線呼出し契約数及び新事業者のシェアの推移(1)
第1-1-16図 無線呼出し契約数及び新事業者のシェアの推移(2)

衛生携帯サービスの利用例
衛生携帯サービスの利用例

第1-1-17図 ISDNサービス改選数及び提供地域数の推移
第1-1-17図 ISDNサービス改選数及び提供地域数の推移(1)
第1-1-17図 ISDNサービス改選数及び提供地域数の推移(2)

第1-1-18図 高速デジタル伝送サービス 回線数及び新事業者のシェアの推移
第1-1-18図 高速デジタル伝送サービス 回線数及び新事業者のシェアの推移(1)
第1-1-18図 高速デジタル伝送サービス 回線数及び新事業者のシェアの推移(2)

第1-1-19表 高速デジタル伝送サービス 主な速度別回線数
第1-1-19表 高速デジタル伝送サービス 主な速度別回線数

第1-1-20表 一般専用サービス回線数の推移
第1-1-20表 一般専用サービス回線数の推移(1)
第1-1-20表 一般専用サービス回線数の推移(2)

第1-1-21表 NTTのパケット交換サービスの推移
第1-1-21表 NTTのパケット交換サービスの推移(1)
第1-1-21表 NTTのパケット交換サービスの推移(2)

第1-1-22表 フレームリレーサービス回線数の推移
第1-1-22表 フレームリレーサービス回線数の推移(1)
第1-1-22表 フレームリレーサービス回線数の推移(2)

 

 

第1章第1節 情報通信サービスの動向 に戻る (2) 放送サービス に進む