平成9年版 通信白書

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第3章 放送革命の幕開け

3 ソフト制作、流通環境の整備に向けた課題と行政への要望

 (1) ソフト制作、流通環境の整備に向けた課題

 ア 資金調達の円滑化
 今後、増大する多種多様な情報ニーズにこたえる良質な放送ソフトの制作を実現していくためには、それを支える制作事業者の財政基盤の充実が不可欠であり、そのため円滑な資金調達方法を確立する必要がある。
 そのためには不動産や機材以外に制作事業者が資産として保有する放送ソフトを担保化することや、企画段階で放送だけでなく、ビデオやDVD等への展開を視野に入れてプリセールを行うことなど、資金調達手段を多様化するための環境整備を行う必要がある。
 イ デジタル化への対応
 放送ソフト制作のデジタル化の効果として、高度なデジタル技術を活用した高品質のソフト制作や作業の効率化・省力化による制作コストの削減や、複製や保管の際の画質の劣化が防止されることにより、二次利用の促進が容易になることなどが挙げられる。そのため、デジタル化に対応できるツールの開発及び技術者の育成が必要となる。また、放送ソフトのテープ録画方式等、フォーマットの標準化も併せて検討が必要である。
 ウ 権利処理ルールの確立
 円滑なソフト流通を促進するために、二次利用を前提としない現行の権利処理の慣行を見直す必要がある。米国では、制作者(プロデューサー等)が二次利用に係るすべての権利を取得し、二次利用の際には、改めて著作者、出演者等の承諾を必要としない。二次利用で得られた収入は、契約等であらかじめ定められた比率で、著作者等に配分されるしくみが確立されている。
 放送ソフトの二次利用を活性化するためには、二次利用に係る権利処理や収益配分の在り方を著作者団体等との間で契約上明確にし、またそのためのルールを今後、確立していく必要がある。
 エ 人材育成
 放送ソフトの急激な需要の拡大や多様化する視聴者に対応した質の高いソフト制作のためには、これまで以上に人材育成の必要性が重視される。放送ソフト制作に従事する優秀な人材を育成・確保するためには、公的な教育機関の設置、あるいは人材育成機関に対する支援措置を検討することが必要である。
 オ ソフトの国際的な流通促進
 放送ソフトの制作を活性化するためにも、我が国の放送ソフトの海外への流通を促進することが求められている。そのため、衛星による番組配信の推進、国際共同制作の推進、積極的な海外見本市への出展等を促進する必要がある。

 

 

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