平成9年版 通信白書

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第2章 情報通信政策の動向

(4)周波数資源の開発

 我が国においては、社会経済活動の発展、国民生活の向上、科学技術の進歩等に伴う電波利用分野の拡大とニーズの多様化により、移動通信の分野を中心にして周波数の需要がますます増加している。周波数のひっ迫と今後の需要に対応して、将来においても安定した周波数の供給を図るため、郵政省は周波数資源の開発を推進している。
ア 未利用周波数帯の開発
 技術上の理由からこれまで利用が困難であったミリ波(30GHz〜300GHz)や光領域の周波数は、広い帯域を有し、将来の有望な周波数資源として期待されている。郵政省では、このような未利用周波数帯を利用可能とするため、広帯域ISDN対応ミリ波通信技術及び光領域周波数帯の利用技術について調査・検討を行っている。
イ 周波数ひっ迫対策のための技術試験事務
 周波数の安定利用という無線局全体の受益に資するため、急速な無線局数の増加により、周波数がひっ迫するために生じる混信、ふくそうの解消又は軽減を目的とした技術について、技術基準を制定するために、次のテーマについて技術的検討を行っている。
1) 利用が進んでいない高周波数帯(3GHz以上)を有効に活用するための技術
2) 伝送効率及び収容効率の向上により、既存の周波数を有効に利用するための技術
3) 他の無線局からの混信妨害を軽減又は解消することにより、周波数を有効に利用するための技術
ウ 周波数資源開発公募研究
 大学等の研究機関において研究が先行している周波数資源開発に係る研究テーマを広く公募することにより、周波数資源開発の一層の促進を図っている。
エ デジタル無線アクセスシステムの研究開発
 通信・放送機構において、21世紀の情報通信基盤として期待されているデジタル無線アクセスシステムについて、その実現のための技術基盤となる準ミリ波帯及びミリ波帯の電波の伝搬特性等を解明するための研究開発を、9年3月までの予定で行っている。
オ 民間における技術開発に対する支援策
 基盤技術研究促進センターでは、民間において行われる周波数資源の開発に関する研究開発に対して必要な資金の出資、融資の事業を行っている。
 また、税制対策として、基盤技術研究開発用資産を取得した場合の取得価格の5%税額控除、周波数逼迫対策税制の対象設備を取得又は製作し、初めて事業の用に供した事業年度についての12%の特別償却等を実施している。

 

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