平成9年版 通信白書

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第3章 放送革命の幕開け

(2)ケーブルテレビの高度化(フルサービス化)

 ケーブルテレビは、光ファイバの導入による大容量・高品質化や、通信サービスの提供等により、地域の総合的な情報通信インフラとしての発展も期待されている。
 9年3月現在で、ケーブルテレビ事業者19社が第一種電気通信事業の許可を取得し、ケーブルテレビ網を利用したインターネット接続サービス、電話、ホームセキュリティサービス等(フルサービス)を提供又は計画している(第3-1-8図参照)。
 また、更に高度な利用方法として、ビデオ・オン・デマンド(VOD)の実験等も行われている。
 ア インターネット接続
 ケーブルテレビ事業者が提供するインターネット接続サービスは、ケーブルテレビ網の双方向性を利用し、放送の空きチャンネルを使用して提供されている。通常のアナログ電話網の約1,000倍とはるかに高速なデータ通信が可能であり、情報ハイウェイにおける高速アクセス回線の実現手段として大いに期待されている。
 8年10月から武蔵野三鷹ケーブルテレビ(株)がサービスを開始し、9年4月以降、5社が順次サービスを開始する予定である。
 イ ケーブルテレビ電話
 ケーブルテレビ電話は、ケーブルテレビ網の双方向性を利用して、テレビ信号用の1チャンネルを使用し、制御信号と音声信号を伝送することによって可能となる電話サービスである。
 現在、第一種電気通信事業の許可を受けている2社がサービスを予定している。
 ウ ビデオ・オン・デマンド(VOD)
 ビデオ・オン・デマンドは、利用者からの要求でセンターに蓄積された映像等のデータを検索し、ネットワークを介して映像データを提供するシステムである。
 6年7月から(財)マルチメディア振興センターが京都府の関西文化学術研究都市において、約300世帯を対象に実験を行っているほか、東京都、千葉県等においても実験が行われている。
 エ 医療・保健・福祉、ホームセキュリティ等
 主に世帯単位で契約されるケーブルテレビでは、ケーブルテレビ網の双方向機能を利用して、番組放送以外にも家庭向けに新たなサービスが提供され始めている。
 医療・保健・福祉の分野では、在宅療養を希望する軽度疾患者や要介護高齢者等が在宅のまま健康管理が行えるよう、様々な健康管理データをケーブルテレビ網を通じて遠隔地の医療機関に伝送したり、テレビ会議システムにより医療機関の健康相談を受けるといったサービスが提供されている。また、ホームセキュリティサービスでは、家庭に設置したセンサーが感知する情報がケーブルテレビ回線を通じてセキュリティ会社に伝送され、家庭内の異常を監視することができるようになっている。また、ガス・電気・水道等の自動検針等にも、ケーブルテレビ回線を利用することも可能である。

第3-1-8図 放送産業(放送産業、放送番組制作業、放送機器製造業)の市場規模
第3-1-8図 放送産業(放送産業、放送番組制作業、放送機器製造業)の市場規模

 

 

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