平成9年版 通信白書

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第3章 放送革命の幕開け

3 放送革命の意義と役割

 (1) 経済フロンティアの誕生

 地上放送を中心とした従来の民間放送事業は、電波資源の有限性から限定された事業者により営まれており、比較的安定した市場競争下に置かれていた。しかし、とりわけ衛星放送においては、多チャンネル化に伴い多数の有料事業者が放送事業へ参入し、多様なサービスの提供による激しい市場競争が発生することが想定される。
 将来的には数百チャンネルと想定されている放送チャンネル数の増大は、放送ソフトの需要を拡大させるとともに、放送に係る発信機器、番組制作に係る編集機器及び視聴に係る受信機器等の需要を拡大させるなど、放送事業以外の放送関連産業への波及効果も期待される。
 放送がデジタル化されることにより、放送と通信はデジタルという共通の技術基盤を持つことになる。現在、既に不特定多数に同時に情報を送ることを目的とした通信や特定の人に対して情報を提供する放送が出現しているように、通信と放送の中間に位置するサービスが出現し、放送受信機とパソコンの機能の共通化が進展することとなる。この結果、その機能や特性を生かした、教育・医療・娯楽等のこれまでには存在しなかった様々な分野における放送の活用や双方向型放送の利用が実現されるとともに、技術的には、従来、放送分野における利用を中心としていた放送ソフトをインターネット等の別メディアで活用することも容易になり、映像資源の有効活用が可能となっていく。これに伴いテレビを情報ステーションとして機能させるためのアプリケーションの開発や映像の高品質化に対する需要が高まるとともに、付加価値の高いサービスが展開されることが予想される。
 これら放送革命を通じ、新たな事業機会の誕生、広告収入に基づく放送と個別の視聴に基づく有料放送とのシェア関係に変化が起こるとともに、放送ソフトの価値の増大と伝送コストの低下により、放送ソフトの制作と流通構造が変化するなど、放送産業の構造が変革していくこととなる。
 このように、放送分野が新たな事業機会をもたらす経済フロンティアとして出現するとともに、このチャンスをめぐるグローバルな規模での事業提携や、国内への外国資本の流入・海外への資本の進出が活発化することは、既に始まっているのである。

 

 

(6)通信との融合による放送サービスの高度化 に戻る (2)生活様式の変革 に進む