平成9年版 通信白書

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第3章 放送革命の幕開け

(3)視聴覚障害者向け放送の充実に向けた取組

 ア 字幕放送・解説放送の充実のための方策
 字幕放送・解説放送は、視聴覚障害者がテレビジョン放送を理解する上で不可欠なサービスであるが、我が国における実施状況は米国等と比較しても十分とはいえず、早急にその充実を図ることが必要となっている。
 字幕番組・解説番組の制作費に関しては、5年度から「身体障害者の利便の増進に資する通信・放送身体障害者利用円滑化事業の推進に関する法律」に基づく助成を実施しているが、当該制度は基金運用益を原資としているため、金利水準の変動によって十分な助成額が確保できないおそれもある。
 そこで、これらの制作費に対し、経済情勢等に左右されない計画的かつ安定的な助成を可能とするため、9年度において、国が通信・放送機構に対して補助金を交付し、これを原資とする新たな助成制度を創設することとしている。
 また、字幕放送を行うには、文字多重放送の免許が必要とされているが、民間放送事業者による字幕放送の全国普及を促進するため、テレビジョン放送の免許のみで字幕放送が実施できるよう、免許制度を改正することとしている。
 イ 視聴覚障害者向け専門放送システム実現への支援
 我が国においては、多チャンネル化の進展により、視聴者の番組選択範囲が拡大し、多様な情報ニーズの充足が可能となるなど、放送を取り巻く環境の急速な変化が進んでいる。
 このような状況にあって、視聴覚障害者固有の情報ニーズにきめ細かくこたえるために、視聴覚障害者向け専門チャンネルの実現が求められている。
 郵政省では、7年10月から「視聴覚障害者向け専門放送システムに関する調査研究会」を開催し、8年4月に報告を取りまとめた。9年度には、これら専門放送チャンネルを番組制作面で支援するため、視聴覚障害者向け専門放送番組を制作し、専門放送チャンネルに供給するために必要となる施設の整備について、財政投融資による低利融資を行う制度を創設した。
 ウ 視聴覚障害者向け放送ソフト制作技術の研究開発
 字幕番組等の視聴覚障害者向け放送番組の制作は、多大な制作コストと制作時間を要することから、それらの効率的な番組制作技術の開発を目的として、8年度から通信・放送機構渋谷上原リサーチセンターにおいて、視聴覚障害者向け放送ソフト制作技術の研究開発を行っている。

 

 

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