平成9年版 通信白書

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第3章 放送革命の幕開け

(3)放送を利用した新規サービス

 第3-5-8図から読み取ることができるように、テレビ放送において視聴する番組及び見てみたい番組の分野として、教育、ショッピング、ゲーム、カラオケといった、従来の番組分野ではあまり見られなかったものが挙げられており、新しい分野の番組に対する需要が高まりつつあることが分かる。
 ここでは、これらの放送サービスに対する新規需要を踏まえ、放送を利用した新規サービスについて概観する。
 ア 教育
 (ア) 個人の遠隔教育に対する需要
 郵政省の委託調査による「情報通信とライフスタイルに関するアンケート」(8年12月)により、個人の放送を利用した遠隔教育に対する需要について見る(第3-5-9図参照)。
 今後利用してみたい新しい情報通信サービスとして、利用メディアを限定しない場合の遠隔教育に対する需要では、回答者全体では23.2%とサービス全体の4位を占めており、期待が高いサービスとなっていることが分かる。性別で見ると、男性の割合は19.0%であるのに対し、女性の割合は36.2%であり男性を大きく上回っている。
 また、利用メディアをテレビに限定して遠隔教育に対する需要を見ると、外国語番組及び趣味・教養を含めて教育番組とみなせば、回答者全体の36.7%を占めている。
 (イ) 放送大学の利用動向
 放送大学の入学学生数の推移を4年から8年までの期間について見ると、着実に増加していることが分かる(第3-5-10図参照)。
 これを性別で見ると、4年には男性の学生数をわずかに下回っていた女性の学生数が、8年には男性の学生数の約1.27倍となっており、女性の学生数の増加が顕著である。さらに年代別に見ると、当該期間を通じて最も多いのは20才代の学生数である。また、19才以下の学生数が減少傾向である一方、30才代及び60才以上の学生数は増加傾向となっている。
 (ウ) 放送を利用した教育
 衛星デジタル多チャンネル放送では、9年2月末現在、4チャンネルを利用して教育専門番組が放送されている。
 番組の内容は、中学校の教科書別解説番組、高校・大学学習塾講師による受験番組、24時間にわたり対象者・習熟度レベル別に細分化された英会話指導番組となっている。これにより、従来は通学が不可能であった加入者にも教育機会を提供したり、加入者の需要にきめ細かく対応した内容を提供することも可能となり、より高度で多様な教育に対するニーズを満たすことが可能となる。
 (エ) 放送を利用した教養等情報の提供
 衛星デジタル多チャンネル放送では、9年2月末現在、9チャンネルを利用してドキュメンタリー、囲碁・将棋、英語、韓国語、ポルトガル語、スペイン語等各国語放送等を内容とした趣味・教養番組が放送されている。
 イ テレビショッピング
 (ア) インフォマーシャル番組の放送時間
 商品に関する情報を提供することにより購買の申し込みを受け付ける、インフォマーシャル番組の1週間当たりの放映時間について、各テレビ放送メディア別に見る(第3-5-11図参照)。
 地上放送、BS放送、CSアナログ放送の各既存メディアにおけるインフォマーシャル番組の放映時間と8年10月から放送を開始したCSデジタル放送における放映時間を比較すると、9年1月現在、既存メディアの中ではCSアナログ放送における放映時間が一番長く、合計1,345分であるのに対し、CSデジタル放送における放映時間は1万8,480分と約13.7倍となっている。このことから、新しい放送メディアの登場が、インフォマーシャル番組の提供手段として大いに活用されていることが分かる。
 (イ) テレビを媒体とした通信販売の利用動向
 (社)日本通信販売協会の「会社概要調査報告書」により、テレビ媒体による通信販売売上高の推移を見る(第3-5-12図参照)。
 通信販売売上高に占めるテレビ媒体を通じた売上高の割合を、3年から7年の期間について見ると増加傾向である。
 (ウ) 個人のテレビショッピングの需要度
 郵政省の委託調査による「情報通信とライフスタイルに関するアンケート」(8年12月)により、個人のテレビショッピングに対する需要を見る(第3-5-9図参照)。
 今後利用してみたい新しい情報通信サービスとして、利用メディアを限定しない場合のホームショッピングに対する需要では、回答者全体では24.1%とサービス全体の3位を占めており、期待が高いサービスであることが分かる。これを性別で見ると、女性の割合が男性を上回っているものの、その差はさほど大きくなく、男性においても需要が高いことが分かる。
 また、利用メディアをテレビに限定してショッピングに対する需要を見ると、回答者全体の2.8%となっており、サービス全体の中での順位は低いが、衛星デジタル多チャンネル放送を使用したショッピング番組の放映時間は拡大しており、テレビ放送はホームショッピングにおける有効な媒体としてとらえられていることが分かる。
 ウ 娯楽
 (ア) 衛星デジタル多チャンネル放送における娯楽番組
 衛星デジタル多チャンネル放送では、9年2月末現在、30チャンネルを利用して最新のテレビゲームの内容紹介、海外のエンタテインメント情報、競艇情報、カラオケ等を内容とした娯楽番組が放送されている。
 (イ) データ多重放送
 BS放送を利用したゲーム配信番組では、電話回線と連動させて、全国一斉に同一条件下で行われるゲーム競技会の開催や、放送されたデータを受信することにより、手持ちのカセット式ゲームに新たな内容を付加して楽しむなど、多様な娯楽が提供されている。

第3-5-9図 放送を利用した遠隔教育・ショッピングのニーズ
第3-5-9図 放送を利用した遠隔教育・ショッピングのニーズ

第3-5-10図 放送大学学生数の推移
第3-5-10図 放送大学学生数の推移(1)
第3-5-10図 放送大学学生数の推移(2)

第3-5-11図 インフォマーシャル放映時間(1週間当たり)
第3-5-11図 インフォマーシャル放映時間(1週間当たり)(91年1月現在)

第3-5-12図 通信販売におけるテレビ媒体による売上高の推移
第3-5-12図 通信販売におけるテレビ媒体による売上高の推移(1)
第3-5-12図 通信販売におけるテレビ媒体による売上高の推移(2)

 

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