平成9年版 通信白書

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第1章 平成8年情報通信の現況

(2) 放送サービス

ア 放送時間・放送局数の推移
(ア) 放送時間
 NHKにおける7年度のチャンネル別の1日当たり平均放送時間は、総合テレビジョン放送が20時間37分(対前年度比51分増)、教育テレビジョン放送が18時間22分(同18分増)、ラジオ第1放送が23時間38分(同1分増)、衛星第1放送が23時間0分(同1分増)、衛星第2放送が22時間35分(同7分減)等であった。うち、総合テレビジョン放送の放送時間の増加が著しいのは、災害時等への迅速な対応等を目的として、7年度に早朝及び深夜の放送時間の拡大を行ったためである。
 また、放送大学学園は、関東広域圏(1都6県)を対象として、テレビジョン放送、FMラジオ放送ともに、6時から24時まで1日当たり18時間(対前年度比増減なし)の放送を行っている。
 民間放送事業者における8年9月から9年3月までの1社1日当たり平均放送時間は、テレビジョン放送(124社)が20時間57分(対前年度比29分増)、ラジオ放送(95社)が23時間16分(同3分増)であった。
(イ) 放送局数
 8年度末現在の放送局数(中継局数を含む)は、地上系が4万300局(対前年度比1.5%増)、衛星系が35局(同12.9%増)で、合計4万335局であった。この内訳は、NHKが1万8,236局(同0.1%増)、放送大学学園が5局(同増減なし)、民間放送が2万2,094局(同2.8%増)となっている。
イ 地上系民間放送
(ア) 地上系民間テレビジョン放送
 地上系民間テレビジョン放送については、全国各地域において最低4系統の放送を受信できることを目標に周波数の割り当てが行われている。8年度末現在、4チャンネル以上の周波数が割り当てられている地域(予備免許に至らないものを含む。)は、34都道府県で、全国の総世帯数の89.8%である(第1-1-23図参照)。
 8年度の開局状況について見ると、8年10月に岩手県において、4局目の民間テレビジョン放送局が開局した。また、9年4月には、山形県で4局目の民間テレビジョン放送局が開局予定である。さらに、8年4月に高知県で3局目の民間テレビジョン放送局が予備免許を受け、9年4月に開局予定である。
(イ) 民間FM放送
 民間FM放送には、県域放送、コミュニティ放送及び外国語放送の三つがある。
 県域放送は、民間FM放送の全国普及を目標として周波数の割り当てが行われており、8年度末現在、周波数が割り当てられている地域(予備免許に至らないものを含む。)は、46都道府県で全国の総世帯数の97.9%である(第1-1-24図参照)。
 8年度の開局状況について見ると、8年12月に滋賀県において、1局目の民間FM放送局が開局した。
 コミュニティ放送とは、市町村内の一部の地域において、コミュニティ、行政、福祉医療、災害及び地域経済産業情報等の、地域に密着した情報を提供するFM放送であり、4年1月に制度化された。コミュニティ放送は、地域の特色を生かした番組、地域住民が参加した番組等を提供することにより、地域の振興等にも貢献する身近な放送局として親しまれている。
 8年度の開局状況について見ると、37局が新たに開局し、8年度末までの合計では64局が開局しているほか、予備免許が3局に与えられ、また4局が開局に向け準備を整えている。
 外国語放送とは、国際交流の推進を目的として、日本人が海外の文化等を理解すること及び国内に在住する外国人が日本の文化等を理解することに役立つ情報を外国語で提供するFM放送であり、7年2月に制度化された。
 7年10月に、大阪市(大阪府)等の地区における民間FM放送局が、外国語放送局として初めて開局されたのに続き、8年度においては、8年4月に東京都の特別区等の地区における民間FM放送局が外国語放送局として開局した。また、福岡市(福岡県)等の地区においても、8年11月に予備免許を受けた民間FM放送局が、9年4月に開局予定である。
(ウ) 地上データ多重放送
 8年4月に制度化された地上データ多重放送は、テレビジョン放送の電波のすき間にデジタル化された音声その他の音響、文字、図形及び映像の信号を重ねて伝送する放送である。静止画によるニュース等の情報のほか、ソフトウェア等の各種データの提供を可能とし、かつ、電話回線等との組み合わせにより、対話型の情報提供機能も実現できるものとして期待されている。
 8年7月から、携帯型端末を用いて文字情報を送る電子新聞放送が、民間放送事業者1社によって行われているほか、8年10月からは、民間放送事業者1社が、インターテキスト(電話回線の利用により双方向性機能を可能とするシステム)による補完番組(視聴者参加型生放送)及び独立番組(株式情報・天気予報・ゴルフ情報・クイズ)の放送を行っている。
(エ) FM文字多重放送
 FM文字多重放送とは、FM放送の電波のすき間にデジタル化された音声その他の音響、文字、図形及び映像の信号を重ねて伝送する放送である。
 このうち、6年10月から、民間放送事業者1社によって放送が開始された「見えるラジオ」は、8年8月現在、NHKと民間放送事業者37社によってサービスが提供されている。
 道路交通情報については、(財)道路交通情報通信システムセンター(VICSセンター)が、8年4月から、東京都、神奈川県、埼玉県及び千葉県においてサービスを開始したのに続き、8年12月から、大阪府においてサービスを開始した。また、9年4月からは、愛知県においてサービス開始予定である。
 また、8年7月から、プリンタ内蔵の専用端末に各種カードを差し込むことにより、テレビと連動したゲーム・個人向けの情報等の受信を可能とするサービス(パパラジーコム)が、8年10月から、情報番組とオリジナル・メッセージを組み合わせて表示する電光掲示板サービス(パパラビジョン)が、民間FM放送事業者1社によって開始された。このうち、パパラビジョンサービスについては、8年12月現在、民間FM放送事業者35社によりサービスが提供されている。
(オ) テレビジョン文字多重放送(文字放送)
 文字放送とは、テレビジョン放送の電波のすき間にデジタル信号を重ねて行われる放送であり、昭和60年11月から本放送が行われている。文字放送チューナー又はデコーダー内蔵型テレビ受像器を用いることにより、ニュース、天気予報、交通情報等の多種多様な情報を無料で随時受信することができる。
 また、聴覚障害者のための字幕放送サービスも、文字放送により行われており、9年1月末現在、NHK(総合テレビジョン放送)により全国で実施されているほか、地上系民間テレビジョン放送事業者14社により、19都府県でサービスが提供されている。
(カ) テレビジョン音声多重放送
 テレビジョン音声多重放送とは、テレビジョン放送の電波のすき間を利用して音声等を送る放送であり、昭和57年12月から本放送が行われている。
 このテレビジョン音声多重放送を利用して、テレビジョン放送の場面・状況等を音声によって説明する解説放送が行われており、視覚に障害を持つ方がテレビ番組を理解し楽しむ上で極めて有効な手段となっている。
 解説放送は、9年1月末現在、NHK(総合テレビジョン・教育テレビジョン及び衛星第2放送)により全国で実施されているほか、地上系民間テレビジョン放送事業者32社により、45都道府県で実施されている。
ウ 衛星放送
(ア) 放送衛星を利用した放送(BS放送)
 放送衛星BS-3を利用した放送には、テレビジョン放送、テレビジョン音声多重放送及びゲームソフト、エンターテイメント情報等を送信するテレビジョンデータ多重放送がある。8年度末において、テレビジョン放送についてはNHKによる2チャンネル、日本衛星放送(株)(JSB)による1チャンネル及びハイビジョン実用化試験放送の1チャンネルの計4チャンネルがあり、テレビジョン音声多重放送については、衛星デジタル音楽放送(株)(SDAB)による1チャンネルがある。また、テレビジョンデータ多重放送については、SDABにより1チャンネルが行われている。
 BS放送の8年12月末現在の受信契約数は、NHKが約797万1千契約(対前年同期比11.5%増)、JSBが約224万9千契約(同13.8%増)、SDABが約11万3千契約(同11.9%増)となっている。また、8年12月末現在のNHKのBS放送受信契約数がNHK受信契約総数に占める割合を見ると22.4%(対前年同期比2.1ポイント増)となっており、BS放送が社会生活に着実に普及してきていることがうかがえる(第1-1-25図参照)。
 ハイビジョン放送については、6年11月以降、NHK及び民間放送事業者6社への曜日別免許及び民間放送事業者1社への期間限定免許により、実用化試験放送を行っている。その放送時間は段階的に延長され、8年4月以降1日13時間(土曜・日曜日は14時間)となっている。
(イ) 通信衛星を利用した放送(CS放送)
(CSアナログ放送)
 通信衛星を利用したアナログ放送には、テレビジョン放送、PCM音声放送及び超短波データ多重放送がある。8年度末において、テレビジョン放送については、13社14チャンネルがあり、うちスーパーバードBを利用するチャンネルでは、(株)日本ケーブルテレビジョンが、ゴルフ番組を中心とした2チャンネル目の業務を開始したことから、合計8社9チャンネルでの放送が行われている。一方JCSAT-2を利用するチャンネルでは、5社5チャンネルとなっている。
 PCM音声放送については、8年10月に(株)ミュージックバードと(株)ジパング・アンド・スカイコミュニケーションズが合併し、(株)ミュージックバードが存続会社となったことで、1社による14チャンネルのサービスがJCSAT-2を利用して行われている。データ多重放送については、(株)ミュージックバード1社による1チャンネルのサービスが、JCSAT-2を利用して行われている。
 CSアナログ放送の8年12月末現在の受信契約数は、テレビジョン放送では加入者約14万9千世帯の63万1千契約(対前年同期比66.5%増)、PCM音声放送では約4万3千契約(同22.9%増)となっている(第1-1-26図参照)。
(CSデジタル放送)
 CSデジタル放送は、映像・音声等の情報を、デジタル信号の形態で伝送することを可能としたものである。8年3月に放送普及基本計画等を変更し、8年6月、衛星デジタル多チャンネル放送の試験放送が、通信衛星JCSAT-3を使用して開始され、8年10月には本放送が開始されている。
 受信契約数を見ると、8年9月に2万件だった受信契約数は、8年12月現在約10万2千件(仮契約件数を含む。)に達している。
エ ケーブルテレビ
(ア) 施設数
 7年度末現在のケーブルテレビの施設数は、6万3,963施設(対前年度末比3.8%増)である。これを規模別に見ると、許可施設(引込端子数501以上の施設)が1,738施設(同7.1%増)、届出施設(引込端子数51〜500の施設又は引込端子数50以下で自主放送(テレビジョン放送の同時再送信以外の放送)を行っている施設)が3万3,782施設(同3.2%増)、小規模施設(引込端子数50以下で、テレビジョン放送の同時再送信のみを行っている施設)が2万8,443施設(同4.4%増)となっており、許可施設が高い伸びを示している(第1-1-27図参照)。
(イ) 受信契約数
 7年度末現在のケーブルテレビの受信契約数は、約1,100万契約(対前年度末比7.3%増)となり、普及率は24.9%(対全世帯数)となっている。規模別では、許可施設が約554万契約(同11.7%増)、届出施設が約481万契約(同3.1%増)、小規模施設が約65万契約(同3.8%増)であり、特に許可施設の受信契約数が高い伸びを示している。
(ウ) 自主放送を行うケーブルテレビ
 ケーブルテレビのうち、自主放送を行うものについてその推移を見ると、8年9月末現在において業務開始施設数は862施設(対7年度末比3.9%増)となっている。また、受信契約数については、8年9月末現在約404万契約(同11.0%増)となり、堅調な伸びを示している(第1-1-28図参照)。

第1-1-23図 地上系民間テレビジョン放送用周波数割り当ての現状
第1-1-23図 地上系民間テレビジョン放送用周波数割り当ての現状(8年度末現在)

第1-1-24図 民間FM放送用周波数割り当ての現状
第1-1-24図 民間FM放送用周波数割り当ての現状(8年度末現在)

第1-1-25図 BS逢送受信契約数の推移
第1-1-25図 BS逢送受信契約数の推移(1)
第1-1-25図 BS逢送受信契約数の推移(2)

第1-1-26図 CS放送受信契約数の推移
第1-1-26図 CS放送受信契約数の推移(1)
第1-1-26図 CS放送受信契約数の推移(2)

第1-1-27図 ケーブルテレビの施設数及び受信契約数の推移
第1-1-27図 ケーブルテレビの施設数及び受信契約数の推移(1)
第1-1-27図 ケーブルテレビの施設数及び受信契約数の推移(2)

第1-1-28図 自主放送を行うケーブルテレビの施設数及び受信契約数の推移
第1-1-28図 自主放送を行うケーブルテレビの施設数及び受信契約数の推移(1)
第1-1-28図 自主放送を行うケーブルテレビの施設数及び受信契約数の推移(2)

 

 

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