平成9年版 通信白書

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第2章 情報通信政策の動向

(4)ユニバーサルサービス・料金の在り方の検討

ア マルチメディア時代のユニバーサルサービス・料金に関する研究会
 今後到来するマルチメディア時代において、ニュービジネスの展開を促進し、すべての人々が高度な情報通信サービスにアクセスできるよう、新たなユニバーサルサービスと料金の在り方について幅広い観点から総合的な検討が求められている。
 郵政省では、6年10月から「マルチメディア時代のユニバーサルサービス・料金に関する研究会」を開催してきたが、8年5月、報告が取りまとめられた。その概要は次のとおりである。
(ア) マルチメディア時代の料金の在り方
(料金設定の在り方)
 マルチメディア時代の料金は、定額制料金のように「量」の要素ができる限り少ない料金体系を基本に考えることが望ましい。具体的な料金設定の方法として、料金算定期間の長期化、減価償却の定額法等の料金算定方法の弾力化、サービス・グレード別の多様な料金設定、ピークロードプライシング(注5)の導入、通信料・情報料一体型の料金設定や広告料を考慮した料金設定について検討することが必要である。
(接続料金の在り方)
 適正な条件で接続が行われることが事業者間の公正有効競争を確保し、多元的な主体による競争を通じたマルチメディアサービスの提供にとって不可欠であり、接続料金は、効率性、客観性、無差別性、多様性の4原則に基づいて定められることが必要である。具体的方策として、料金の算定方式の検討、接続料金のアンバンドル(注6)化及びタリフ(注7)化、事業者間精算方法の簡素化等について検討することが必要である。
(インターネットに関する課題)
 当面の課題として、急速に成長しているインターネットに関しては次の措置が必要である。
1) 第一種電気通信事業者の専用サービスの低廉化・多様化による料金の内外価格差の縮小
2) インターネットのアクセスにおける地域間格差を解消するための均一料金によるアクセスサービスの提供
3) NTTのOCNについてのネットワーク機能や設備のアンバンドル化を含めた公正有効競争条件の整備
4) サービス品質に関して利用者に対するプロバイダの十分な情報開示
(イ) マルチメディア時代のユニバーサルサービスの在り方
 現在、情報通信分野におけるユニバーサルサービスは電話に限定されているが、遠隔教育、遠隔医療等の「マルチメディア・サービス」及びこれらを可能とするための光ファイバを用いた高速・広帯域伝送が可能なネットワークインフラである「マルチメディア・アクセス」についても、国民生活に不可欠なサービスとして、ユニバーサルサービスの対象に含めることを検討すべきである。
 具体的な措置として、サービスの多様化と料金の低廉化を進展させ、ユニバーサルサービスに参加する事業者間の負担の公平性を図るため、1)競争中立性、2)透明性の確保、3)事業の効率性、4)安価な実施費用といった要件を満たすユニバーサルサービス基金方式(注8)を導入することが適当である。
イ マルチメディア時代に向けた料金・サービス政策に関する研究会
 郵政省では、8年10月から、「マルチメディア時代に向けた料金・サービス政策に関する研究会」を開催し、ニュービジネスの振興、内外価格差の是正、利用者利益の確保等の観点から、料金制度やユニバーサルサービスの在り方について検討を行っている。本研究会は、10年5月を目途に検討結果を取りまとめる予定である。

 

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