平成9年版 通信白書

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第2章 情報通信政策の動向

(3)規制緩和の推進

ア 国内専用線の利用自由化(「公-専-公」接続)の実施
 国内の専用線と公衆網の接続については、7年4月から専用線の片端に公衆網を接続すること(いわゆる「公-専」片端接続)が可能となったが、専用線の利用を完全自由化するため、8年9月、専用線の両端に公衆網を接続する、いわゆる「公-専-公」接続が認可された。これを利用して、社内の通信網として利用していた企業ネットワークの活用により、社内の利用者のみでなく、一般利用者を対象とする廉価な電話サービスの提供が開始された。また、国際専用線についても、9年中に「公-専-公」接続を完全自由化する予定である(第2-3-2図参照)。
イ 特別第二種電気通信事業の規模基準の緩和
 一般第二種電気通信事業者の範囲を拡大し、今後、より一層機動的に事業展開を行うことを可能とするため、8年12月、特別第二種電気通信事業の回線規模の基準を「1,200bpsの電気通信回線に換算して500回線を超えるもの」から「64kbpsの電気通信回線に換算して2,000回線を超えるもの」に見直した。9年4月1日現在、特別第二種電気通信事業者は78社、一般第二種電気通信事業者は4,510社である。
ウ 移動体通信の料金の届出化
 郵政省は、第一種電気通信事業者の提供する移動体通信の料金を、事前届出制の対象とするため、「電気通信事業法施行規則」の改正を行い、8年12月から施行した。
 この改正により、現在提供されているサービスのうちでは、携帯・自動車電話サービス、PHSサービス、簡易型陸上無線電話サービス(CRP)、マリネット電話サービス、無線呼出しサービス、テレターミナルサービスが料金事前届出制の対象となり、料金の設定又は変更を行う場合の認可が不要となった。
エ 電波利用促進のための環境整備の推進
(ア) 小型船舶に設置するレーダーの操作についての資格の不要化
 小型船舶に設置する操作の簡単な小型レーダーの操作については、8年4月、無線従事者資格を不要とした。
(イ) 無線局の業務分類についての免許の適用範囲の弾力化
 無線局の業務分類について、8年7月、携帯電話において、従来、移動する無線局との通信を行う基地局と、移動しない無線局との通信を行う固定局の二つの免許が必要であった無線局を、新たに陸上移動中継局として認めることにより、両方の無線局との通信を一免許により可能とした。これにより、携帯電話の基地局と固定局との二重免許が解消された。
オ 9年度実施予定の規制緩和
(ア) KDDの国内電気通信業務への参画
 従来、KDDは国際電気通信事業のみを業務としていたが、KDDが保有している国内伝送路等を活用した国内電気通信業務及び通信衛星を利用した国際・国内といった区別のない通信サービスの提供を可能とするため、国際電信電話株式会社法(KDD法)の一部を改正する法律案を作成した。
(イ) 包括免許制度の導入
 携帯電話等の移動する端末について、個別の端末ごとの免許でなく、一つの免許により複数の無線局が開設できるように、電波法の一部を改正する法律案を作成した。
(ウ) 無線局検査の民間への開放
 無線局の検査について、国による検査の一部を民間事業者(認定点検事業者)もできるようにするため、電波法の一部を改正する法律案を作成した。
(エ) 電気通信事業の参入規制の緩和
 第一種電気通信事業の許可の基準から、「電気通信役務が需要に照らし適切なものであること」及び「電気通信回線設備が著しく過剰とならないこと」(過剰設備防止条項)を削除し、参入規制の緩和を行うため、電気通信事業法の一部を改正する法律案を作成した。
(オ) 電話番号制度の明確化
 電気通信事業者やサービスを選択する番号等について、国が基準を設定することを明確化するため、電気通信事業法の一部を改正する法律案を作成した。
(カ) 第一種電気通信事業者の外資規制撤廃
 9年2月に合意されたWTOにおける交渉結果に基づき、NTT、KDDを除く第一種電気通信事業者について、無線局も含め一切の外資規制を、10年1月から撤廃する予定である。

第2-3-2図 「公-専-公」型(「公-専」両端)接続による電話サービスのしくみ
第2-3-2図 「公-専-公」型(「公-専」両端)接続による電話サービスのしくみ

 

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