研究領域で、生成AI活用に積極的に取り組んでいる企業の一つに中外製薬が挙げられる。中外製薬は、「AI創薬」を中心に業務構造全体の改革に着手しており、生成AIを活用することで、研究プロセスの効率化だけでなく、新規価値の創出も目標として取組を進めている(図表Ⅰ-2-1-11)。
特に、「AI創薬」においては、研究開発期間の短縮や費用の削減、開発の成功確率の向上といった医薬品開発の構造的な課題の解決に向けて、AIの導入に取り組んでいる。例えば、疾患ターゲットの探索や医薬品の分子デザインにおいて、機械学習などのAI技術を活用することで、創薬プロセスの短縮や成功確率の向上を目指している。また、各作業にロボット等を導入することで、自動化・省力化を通じた開発期間の短縮にも取り組んでいく方針である。自社のデータを活用するだけでなく、積極的に他社とも連携をとっている。
商品開発における事例としては、パナソニックホールディングスの「設計AI」34が挙げられる。自社の強みであるシミュレーション技術とAI技術を掛け合わせ、事前学習を前提とせず逐次的に学習でき、あらゆる設計条件に適用できるAI技術を活用して、モデルの作成からシミュレーションによる評価、形状の決定といったプロセスを自動化・高速化しているという。また、単なるシミュレーションだけでなく、設計上の重要ポイントをヒートマップとして可視化することで、設計空間のうちの重要な領域に絞って設計が可能になり、部品モーターの出力といった性能の向上だけでなく、計算速度が従来の7倍に向上したとしている。今後の方針としては、対話形式で設計条件を入力することで、最適な設計の提案を返してくれるような仕組みの実現などが期待されているという。
2 中外製薬より提供。
3 MONOist(2025年7月8日)八木沢篤「パナソニックの「設計AI」が“勘と経験”を超える設計の自動化を実現」〈https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/2507/08/news027.html
〉(2026年2月25日、4月5日参照)
4 日経クロステック(2025年5月12日)内田 泰「パナソニックの熟練者超え設計AI、シェーバーや電動工具開発で実用へ」〈https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/10583/
〉(2026年2月25日、4月5日参照)