第Ⅰ部 特集 AIの進展がもたらす多面的影響〜人間とAIが健全に協働するデジタル社会の実現に向けて〜
第2節 人間の情報行動・情報空間とAI

2 考察

山口真一教授1は、自身の研究における調査の結果も踏まえ「生成AIを通じた情報収集を行う層が拡大していることが推測できる」と述べている。また、「これまで技術や資金を有する一部の人しか架空の画像や動画を作ることができなかったが、生成AIを使うことでそうした画像や動画の作成が容易になった」とし、「生成AIによって作成されたコンテンツが、閲覧されればされるほど作成・流通側に利益が生まれる「アテンションエコノミー」の構造の下で、大量に拡散する様になったのではないか」と近時の状況変化を分析している。

その上で、「生成AIの普及の飛躍的な進展に比して、生成AIに関するリテラシーや知識はそこまで増えていない状況である」と分析し、「今後生成AIは人々が生活する上で欠かせないツールになるため、しっかりとリテラシーの啓発を行っていく必要がある」として、リテラシー啓発における政府の役割の重要性や、子ども世代のみならず全世代における啓発の必要性を指摘した。山口教授は「フェイク情報が混入しているリスクがあると、人々は「これは本当だろうか」と考えながら情報に向き合わなければならなくなる上、「自分がだまされて損害を被るかもしれない」という不安も生じるため、フェイク問題については直接的な被害だけでなく、こうした間接的な社会的コストも大きい」としている。

さらに、山口教授は、「AIが作った画像や映像を人間が判別することは徐々に困難になりつつあり、こうした状況下で頼りにできるのはAIだろう」として、AI技術を利用した偽・誤情報の検知に期待を寄せるとともに、「こうした技術が現実的に有効に機能するためには、人々の通常の利用の中に組み込む自然な「仕掛け」が重要である」と述べ、技術が「大衆化して、多くの人が享受できる様になることが望ましい」と述べている。



1 国際大学グローバル・コミュニケーション・センター 山口真一教授へのヒアリングに基づく。

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