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第Ⅰ部 特集 AIの進展がもたらす多面的影響〜人間とAIが健全に協働するデジタル社会の実現に向けて〜
第2節 最近の研究開発・社会実装動向

(5) 社会実装等の動向

既に実用化されているSLMを利用した製品やサービスとしては、パソコンやスマートフォンにおけるデバイス上のAI機能の実装や、デバイスのAIとクラウドのAIを使い分ける仕組みなどがある。また、企業による活用では、通信がない環境での作業効率化のための活用や、領域特化型のAIの実装が始まっている。

例えば、東京大学松尾研究室発のスタートアップである株式会社EQUESは、GENIAC第2期として2024年10月に採択されたテーマで開発した、製薬業界向けの特化型LLM「JPharmatron-7B」を発表している。「JPharmatron-7B」は、薬剤師国家試験や医師国家試験などの成績で、当時公表されていた他モデルを上回る成績を収めており、同社が提供する製薬業界向けAIソリューション「QAI」シリーズへの実装を見据えている16

また、SLMの利用は、地域においても進められつつある。楽天モバイル株式会社とエッジAIに強みを持つAWL株式会社、楽天ヴィッセル神戸株式会社(ヴィッセル神戸)の3社が、総務省の「地域社会DX推進パッケージ事業(AI検証タイプ)」により、兵庫県神戸市のノエビアスタジアム神戸で、監視カメラの近くにある「ファーエッジ」と複数のファーエッジを接続する「エッジサーバー」で構成されるエッジAIを活用し、立ち入り人物のリスクを判断・通知するシステムの実証を行っている。ファーエッジには画像を認識するAIが搭載され、人物や異常を検知・分析し、エッジサーバーの通信混雑具合とリスクに応じて、テキスト、動画、静止画に情報を圧縮する。エッジサーバーは、ファーエッジからの情報をSLMで統合し、要約、指示を生成し、警備員にレポートする。クラウドAIと比べ、通信の混雑に影響されないため、迅速に情報をやり取りできる点やクラウドの高性能GPUを使用するより省電力・省コストである点に期待が集まっている(図表Ⅰ-2-2-217

図表Ⅰ-2-2-2 SLMを活用した地域における実証事業(兵庫県神戸市)
(出典)総務省「大規模施設の防犯AI、脱「中央集権」の画像データ処理へ」18


16 株式会社EQUES「<リリースのお知らせ>製薬特化の大規模言語モデル「JPharmatron-7B」を開発しました」〈https://eques.co.jp/news/250618/別ウィンドウで開きます〉(2026年2月16日参照)

17 総務省(2025)「大規模施設の防犯AI、脱「中央集権」の画像データ処理へ」(『地域社会DXナビ』2025年10月14日)〈https://dx-navi.soumu.go.jp/support_r7/dx_package/demonstration/article/001別ウィンドウで開きます〉(2026年2月27日参照)

18 同上。

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