今回の特集では、日本におけるAIの利活用に関し、第1章で個人における利用の現状について、第2章では企業における利用の現状、業務領域ごとの活用事例、先進的な取組を進める企業に対する個別ヒアリング調査結果、最近の研究開発・社会実装動向、公共機関における利用の現状等について、それぞれ概観してきた。
国際的なアンケート調査結果を踏まえると、日本は、今回調査した米国・ドイツ・中国と比較して、個人や企業におけるAI利活用が低調な概況が依然見られるものの、個人利用では若年層を中心とした世代における利用の浸透、企業利用では経営層のリーダーシップに基づく先進的な取組や、フィジカルAIといった日本の強みとAIの融合分野における取組の進展など、日本においても社会的にAI利活用が着実に進んでいる状況が分析される。
AIは我々の社会生活や経済に便益をもたらす可能性が高い一方で、様々なリスクも指摘されており1、AIの開発・活用を進めていくに当たっては、イノベーションの促進とリスクへの対応を両立させ、人間とAIの健全な協働を不断に追求していくことが欠かせないと考えられる。こうした観点の下、本章では、今回実施した調査に基づき、近時指摘されている課題の一部について研究動向等も踏まえながら考察した上で、人間とAIの健全な協働について展望を試みる。
1 AIがもたらしうる便益とリスクについては、総務省・経済産業省(2026)「「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」別添」(特に 1. B.AIによる便益/リスク 表4. AIによるリスク例の体系的な分類案)参照。なお、同表は「AIのリスクを網羅したものではなく、想定に基づく事案も含んでおり、あくまで一例として認識することが期待される」とされている。〈https://www.soumu.go.jp/main_content/001064286.pdf
〉(2026年4月7日参照)