放送は、公衆の生命・財産の確保に不可欠な生活情報等の伝達や信頼性ある社会の基本情報を提供する重要な社会的役割を担っており、健全な民主主義の発展に資する社会的基盤となっている。その一方で、近年、我が国では大規模な自然災害が相次いで発生しており、特に2024年の能登半島地震・豪雨の際には、地上波テレビ・ラジオの中継局やケーブルテレビが停波する事態となった。また、同年8月には南海トラフ地震臨時情報が発表されるなど、広域大規模災害の発生も懸念されている。
総務省では、2025年2月から放送制度検討会の下で「広域大規模災害を想定した放送サービスの維持・確保方策の充実・強化検討チーム」を開催し、放送を維持するための方策や代替手段等の検討を行った上で、同年9月、放送ネットワークの強靱化や被災した場合の早期復旧のための支援の継続・拡充に取り組むべきであること等を内容とする取りまとめを公表した17。そして、2026年5月、取りまとめを受け実施した状況をまとめるとともに、放送が、その社会的役割を維持していくための具体的取組を示した「放送ネットワーク強靱化アクションプラン」を策定・公表した18。
これらを踏まえ、「放送ネットワーク整備支援事業」(図表Ⅱ-2-4-3)において、地上基幹放送(地上波テレビ、ラジオ)やケーブルテレビの放送ネットワークの強靱化を支援する取組を進めている。地上基幹放送ネットワークについては、放送事業者や地方公共団体等による予備設備や緊急情報伝達装置の整備、停電対策、耐震対策、ラジオの難聴解消等のための取組を支援しており、令和7年度補正予算及び令和8年度当初予算においては、中継ルートの変更、耐震対策の強化(耐震診断費の支援、南海トラフ地震による被害想定が大きい地域への耐震改修工事の補助率かさ上げ)に対する支援について拡充した。また、ケーブルテレビネットワークについては、伝送路の光ファイバ化や放送設備の多重化等の強靱化の取組への支援を行うとともに、石川県能登地方の地震により被害を受けたケーブルテレビの災害復旧支援を継続しており、令和7年度補正予算及び令和8年度当初予算においては、地方公共団体等が所有するケーブルテレビネットワークの譲渡を受けて整備を行う民間事業者等(承継事業者)に対する補助率のかさ上げや受信点の複数拠点整備等に対する支援について拡充した。
また、難視聴地域でのテレビ放送の視聴環境を確保するため、「辺地共聴施設の相談支援窓口」を設置し、辺地共聴施設の光ファイバ化や有線放送サービスへの移行を支援するとともに、令和7年度補正予算においては、同窓口において専門家等による共聴施設の現地調査や設計業務等を行う技術的支援業務について拡充した。
17 「広域大規模災害を想定した放送サービスの維持・確保方策の充実・強化検討チーム取りまとめ」(令和7年9月12日):https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu11_02000160.html![]()
18 「放送ネットワークの強靱化に向けた今後の取組」(令和8年5月12日):https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu11_02000174.html![]()