営業活動、カスタマーサポート、店舗対応等、顧客との接点における業務でのAI活用の事例として、明治安田生命、Gen-AX、イオンの取組が挙げられる。
明治安田生命は、AIを活用した「デジタル秘書」をほぼ全従業員に提供してAIによる面談記録の作成やデータ蓄積の支援を行っており、今後、AIエージェントが、過去の面談情報や社内情報を参照して、自律的に次の提案内容の検討や提案書の作成を行う等の支援を構想として考えている17。こうした取組を通じた業務の効率化・高度化によって創出した余力を、顧客サービスの向上にシフトしていくとしている18。
ソフトバンクの子会社であるGen-AXは、顧客対応の自動化を支援する「X-Ghost」を開発している。X-Ghostは、24時間365日、音声問合せへの対応が可能で、AIオペレーターによって自然な音声対話を実現しているだけでなく、システムの照会や登録処理といった作業にも対応している(X-Ghostのウェブサイトでは、旅行代理店における人数変更の問合せについて、X-Ghostがより良いプランを提案する音声サンプルが公開されている)。現在は、顧客とのやりとりを行うオペレーターAIと、発話やシステムの挙動をリアルタイムで監視・制御するモニタリングAIの連携によるサービスを提供しており、今後は、複数のAIエージェントが連携し、顧客の問合せにより最適化された対話の実現や、音声を起点としたマルチモーダルへの拡張を目指している(図表Ⅰ-2-1-17)19。
イオンは、実店舗における取組として、従業員向けにマニュアル等を学習させたAIを搭載した端末「AIアシスタント」を開発し、一部の店舗で実際に導入している20。AIアシスタントは、免税対応、商品の配送、落とし物の管理等、幅広い業務のマニュアルを学習しており、音声入力にも対応しているなど使いやすさの面でも現場の従業員から好評で、「黒子」として現場の業務の負担を軽減しているという(図表Ⅰ-2-1-18)21。また、イオングループでは、金融や保険などを含む約300のグループ会社の顧客データの統合を進めつつ、自社でAIエージェントの開発にも着手しており、今後の構想として、顧客一人一人に応じた購買の提案や、購買の前提となる献立の提案を行うことなどを考えているという22。
17 日本経済新聞(2025年9月4日)「明治安田生命、「AI秘書」社員ほぼ全員に 指示なしでも先回り支援」〈https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC1710K0X10C25A8000000
〉(2026年2月25日参照)
18 明治安田生命「DX戦略の推進」〈https://www.meijiyasuda-saiyo.com/about/torikumi/dx.html
〉(2026年4月5日参照)
19 Gen-AX「X-Ghost」〈https://x-ghost.gen-ax.co.jp
〉(2026年2月16日、4月5日参照)
20 イオンリテール株式会社「次世代型“従業員マニュアル”生成AIを活用した「AIアシスタント」を実装」〈https://www.aeonretail.jp/pdf/250515R_1.pdf
〉(2026年2月25日、4月5日参照)
21 日経ビジネス電子版(2025年12月26日)中沢 康彦「イオン、AIを「黒子」に 現場の判断を支援」〈https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/special/02361/
〉(2026年3月25日参照)
22 Nikkei Digital Governance(2025年9月5日)「イオン、自前のAIエージェント 傘下300社のデータ統合−イオン 山崎賢CTOに聞く」〈https://www.nikkei.com/prime/digital-governance/article/DGXZQOUC259J60V20C25A6000000?msockid=2b6cac6ec2066e1e08b4bacac3146fd0
〉(2026年2月25日参照)