ファナックは、オープンソースソフトウェアであるROS2ドライバを開発し、世界中のユーザーがファナックのロボットを使用できる環境を提供している。また、ファナックが開発するロボット制御装置は、パソコンを介さずにPythonプログラムを直接実行できるほか、Stream Motion(位置データ指令高速通信機能)を実装しているなど、多様な環境で利用しやすい開発を目指している32。ファナックのオープンプラットフォームを活用したフィジカルAIの事例として、言語指示に対して生成AIがPythonプログラムを自動生成し命令を実行する様子や、2本のアームで柔らかいケーブルを配線する様子、動く部品に対してリアルタイムでねじ締めを行う様子などが公開されている(図表Ⅰ-2-2-5)33。
2018年創業の日本のロボット開発企業ugo株式会社は、点検専門モデルや警備・案内を実施するモデル等を開発しており、警備や案内業務を行う「ugoPro」では、2本のアームでカード認証やエレベーター操作などを行い、フロアをまたぐ移動が可能となっている。また、顔ディスプレイがついており、AIによる自動回答生成によって会話も可能で、多言語に対応しているほか、必要に応じて遠隔操作に切り替えて人が応答を行うことも可能となっている(2024年度第11回ロボット大賞優秀賞(ビジネス・社会実装部門)受賞)(図表Ⅰ-2-2-6)3536。
このほか、Preferred Networksからスピンオフしたロボット開発企業Preferred Roboticsが開発した小型搬送ロボット「カチャカ」は、独自のSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術により、自己位置の変化や環境変化に対しても頑健に自己位置を推定することが可能で、また、深層学習においてもPreferred Networksのスーパーコンピュータと学習モデル自体の最適化を応用することで、ロボットの限られた計算能力・消費電力の中で、最大限の推論性能を引き出している。多種多様な環境でもぶつからずに最適な経路を自動で選択し物品の運搬が可能であることから、製造現場での輸送だけでなく、クリニックでの治療器具の輸送や機材の片づけ、飲食店での配膳など幅広いシーンで使用されている(2024年度第11回ロボット大賞総務大臣賞受賞)(図表Ⅰ-2-2-7)38。実装例として、KDDIは、本社オフィスにて「カチャカプロ」を導入し、複数フロアにわたる社内メール便搬送業務の一部を自動化しており、エレベーターとの自動連係によって、各フロア間の移動時には、カチャカが自らエレベーターを呼び出して乗降するという39。
32 ファナック株式会社「FANUC Open Platform」〈https://www.fanuc.co.jp/ja/product/robot/academia/
〉(2026年2月20日参照)
33 ファナック株式会社「ファナックのオープンプラットフォーム活用事例」〈https://www.fanuc.co.jp/ja/product/robot/academia/case_study.html
〉(2026年2月20日参照)
34 同上。
35 ugo株式会社「business」〈https://corp.ugo.plus/business/
〉(2026年3月5日参照)
36 ugo株式会社「ugo Pro」〈https://ugo.plus/products/ugo-pro/
〉(2026年3月5日参照)
37 同上。
38 株式会社Preferred Robotics「Preferred Robotics」〈https://www.pfrobotics.jp/
〉(2026年3月5日参照)
39 株式会社Preferred Robotics「KDDI本社に自律搬送ロボット「カチャカプロ」を導入」〈https://kachaka.life/posts/press-kddi-kachaka-mail-robot/
〉(2026年3月19日参照)
40 株式会社Preferred Robotics「搬送ロボット“カチャカプロ”|小型で安価なAMRで効率的な搬送自動化」〈https://kachaka.life/
〉(2026年3月19日参照)