サイバー空間における安全・安心なデータ流通を実現するためには、暗号技術によりデータを暗号化して通信時の安全性を確保することが基本となる。一方で、暗号技術のみでは、データが「いつ存在していたか」や「組織として正当に発行されたものであるか」といった点について、後から第三者が確認できる形で示すことは困難である。このため、暗号技術を基盤としつつ、データの時刻や発行主体の真正性等を客観的に証明する仕組みとして、トラストサービス(図表Ⅱ-2-5-1)の重要性が高まっている。
このため、総務省では、タイムスタンプ及びeシールについて、国による認定制度を整備することで、これらトラストサービスを通じたデータの信頼性の確保に取り組んでいる。
タイムスタンプは、ある時刻にその電子データが存在していたことと、その時刻以後に改ざんされていないことを証明する仕組みである。
総務省では、タイムスタンプサービスの信頼性を確保するため、2021年4月に、「時刻認証業務の認定に関する規程」(令和3年総務省告示第146号)を制定し、国(総務大臣)による認定制度を整備した。認定制度では、時刻の正確性、設備の安全性・冗長性、業務運用体制等について一定の基準に適合したタイムスタンプサービスを認定している。
2026年5月時点で6サービスを認定しており、認定を受けたタイムスタンプの年間総発行件数は10億件以上である。これらは、官報12、電子帳簿保存13、電子契約、知的財産保護等の様々な分野で活用されている。
eシールは、企業等が発行する電子データの発行元を証明し、また、電子データに改ざんがないことを証明する仕組みである。
総務省では、組織が発行する電子データの信頼性確保に向け、2020年4月から「組織が発行するデータの信頼性を確保する制度に関する検討会14」、2023年9月から「eシールに係る検討会15」、2024年6月から「eシールに係る認定制度の関係規程策定のための有識者会議16」を順次開催し、eシールに係る認定制度創設に向けて、制度運用に必要な関係規程の策定に資する検討を行ってきた。これらの検討結果を踏まえ、2025年3月に「eシールに係る認証業務の認定に関する規程」(令和7年総務省告示第113号)を制定し、国(総務大臣)による認定制度を整備した。
2026年3月から認定申請の受付を開始しており、今後、eシールサービスの認定を通じ、組織が発行する電子データの真正性・信頼性を確保する基盤として、eシールの普及・活用を推進していく。
12 官報の発行に関する内閣府令(令和6年内閣府令第80号)により、認定を受けたタイムスタンプを利用することとされている。
13 2022年度の税制改正により、電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律(平成10年法律第25号)による税務関係書類に係るスキャナ保存制度等で使用されるタイムスタンプについては、総務大臣認定制度に基づくタイムスタンプを使うこととされている。
14 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/data_organization/![]()
15 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/e_seal/![]()
16 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/e_seal_yushikisha/![]()