AIを含め新しい技術に係るポジティブな影響とネガティブな影響の捉え方という点に関連し、東京大学大学院人文社会系研究科の唐沢かおり教授4は、「ナラティブ」という視点を設定し、「例えば、便利で快適なものがよいというナラティブと、そうしたものは人間の本来の自律性を失わせるからダメになるというナラティブそれぞれを主張することが可能である」と指摘した。その上で、双方のナラティブを主張しうる中で、どのようなスタンスを取るのか、どういう価値を重視してどういう社会を目指すのかを議論し、姿勢、態度、在り方等を検討することが重要である旨を述べている。
また、国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの山口真一教授5は「長期的には、これまで人間が行ってきたことの一部はAIに置き換わっていくことになるだろう」と見た上で、「AIへの代替が進んだ場合、人間単体では能力の低下が起こりうるかもしれないが、実際には、人間とAIとの“協働”によって、トータルとしての人間の能力は向上するのではないか」と指摘し、AIを使いこなすことを通じた、トータルでの能力向上に着目する視点を示している。
4 東京大学大学院人文社会系研究科 唐沢かおり教授へのヒアリングに基づく。
5 国際大学グローバル・コミュニケーション・センター 山口真一教授へのヒアリングに基づく。