昭和54年版 通信白書

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1 情報化社会と情報流通センサス

 情報化の程度を定量的には握する方法については,電話機の普及率,テレビ受像機の総台数,コンピュータのオンライン化率等,個々のメディアについて各々異なった基準を用いて数値を提供することはできても,総合的,全体的に情報の量をは握することは,「情報」という性質からみて困難とされてきた。
 郵政省が48年度来実施してきた「情報流通センサス」(注)は,この方面における研究の1つであり,あらゆるメディアによる情報流通を共通の尺度で計量し,情報流通の実態について全体的には握しようとするものである。
 以下この調査結果に従って40年度から52年度にかけての情報化の傾向と,52年度の結果について述べることとする。
(注)情報流通センサス
 情報流通センサスは,あらゆるメディアによる情報流通の量を共通の尺度で計量し,情報流通の実態を情報流通量(供給量,消費量),情報流通距離量及び情報流通コストという三つの要素から定量的かつ総体的にとらえようとするものである。
 計量方法を定めるに当たっては,次のとおりいくつかの前提を置いている。
[1] 対象は郵便(手紙・はがき),電報,電話,データ通信,テレビジョン放送,新聞,書籍等の情報流通メディアをはじめ,会話,学校教育,観劇といった情報流通を含め,34種類とする。
[2] 各メディアの情報流通を,(a)言語,(b)音楽,(c)静止画,(d)動画の4つのパターンに分類し,その間に「換算比価」 (例えばテレビジョン放送1分間の情報量ははがき何通分に相当するか)を設定するとともに,各メディアに共通の単位として日本語の1語を基礎としたワードという単位を設け,これによりすべての情報量を換算集計する。
 また,「白黒」と「カラー」という情報量の差も同時に設定した。
[3] 情報の持つ「意味」あるいは「価値」については計量の対象としない。
[4] 電話,手紙等のパーソナル情報流通メディアでは供給情報量はすべて消費されるものとする(供給量=消費量)。
[5] 情報流通コストは情報を流通させるために要した経費を表し,情報の生産,処理に要する経費は含まない。
 なお,本調査における情報流通メディアは,流通経路の物理的特性,流通の形態及び情報の表現形式により第1-1-12表のように分類した。これにより各メディアごとに限らず,各体系別による現況及び将来動向の分析・比較を行い,情報化の指標を作ることなども可能となった。

第1-1-12表 52年度情報流通センサス調査対象メディア

 

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