昭和54年版 通信白書

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8 39GHz帯小容量PCM多重方式の開発

 36GHz〜40GHzは,固定・移動業務に分配されている周波数帯であるが,最近の半導体素子技術の急速な発達及び通信需要の増大とあいまって,その利用について,世界各国で研究開発が進められている。
 この周波数帯は,降雨による減衰が大きい反面,空中線の指向性が鋭く,耐干渉性の強い回線構成が可能であるという利点があり,比較的短距離の区間で,多方向に多数の回線を設定できる可能性をもっており,長距離大容量の回線網と都市及び都市周辺部で利用される各種の通信機端末とを結ぶものとして,将来の開発利用が期待される。
 54年1月,この周波数帯の利用開発を目的として,この種のシステムとしては我が国初の39GHz帯の周波数の電波を用いる小容量ディジタル無線伝送システムの実験局が開設され,降雨減衰による回線信頼度及び機器システムについての研究が開始された。
 この実験に供されている装置の主な諸元は,第2-7-6表のとおりで,1システム当たり1.544Mb/s(電話24ch相当)の伝送容量を持ち,2相PSK信号として伝送するものであり,アンテナと無線送受信装置とは一体として小型,軽量にまとめられており,設置も容易にできるよう設計されている。
 我が国の平均的な降雨条件において,この装置による年間の回線信頼度の推定値は,第2-7-7表のとおりである。
 このようなシステムは,今後各種の情報端末機器の導入に対応して,各端末を相互に接続する専用通信回線として,都市内のビル間を結ぶ無線通信のほか,内海離島間や河川・港湾を越える短距離の回線又は,災害時の臨時回線等各方面の利用が考えられ,この周波数帯の開発は,今後の我が国の無線通信にとって,重要な課題の一つである。

第2-7-6表 39GHz帯小容量ディジタル無線伝送システムの実験装置諸元

第2-7-7表 39GHz帯小容量ディジタル無線伝送システムの回線信頼度

 

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